ランチェスター(1868〜1946)はイギリスの技術者で、用兵学的に航空機の運用を考える中で「ランチェスターの法則」を見いだし("Aircraft in Warfare: The Dawn of the Fourth Arm" 1912)、これが後に米国を中心に発展するオペレーションズ・リサーチの原点となったということです。
「百発百中の一門能く百発一中の百門に勝る」という東郷元帥の言葉を、「そんな非数学的な話はありえない」と井上成美は批判して不興を買ったそうですが、井上は、おそらく当時すでにランチェスターの著作を入手して読んでいたのでしょう。
第二次世界大戦では、帝国陸海軍は戦線の野放図な拡大と戦力の逐次投入を繰り返しましたが――米国ではコロンビア大学の数学者グループなどが中心になり、いち早く数理モデルを駆使して戦略や兵站を立案していたということです。これも第4章で藤原博士と寺川さんが言及している通りです。