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とはずがたり数理解析研究所講究録
42
:
とはずがたり
:2018/11/03(土) 12:03:11
どうやら一致定理とやらを調べる必要がありそう。。なんで一分で一致してたら全部一致してんだよ?可怪しいやろ。
>>41
複素解析とは、複素数の関数に対して微分や積分を考える分野です。基本的には実数の関数のときと似ているのですが、複素関数の微分というのは、実数の関数の微分より条件が厳しいんです。
微分というのは、ざっくりいうと「xをちょっと動かしたときにf(x)がどれだけ動くか」という比率を表したものですが、実数の場合、直線なのでxの動かし方が大小2方向しかありません。しかし複素数の場合は平面なので、動かし方がたくさんあるんですよね。上下左右に加え、斜めもあるし、回転しながらもありえる。どんな動かし方をしても、収束値が1つにならないと微分可能とはいえません。なので、「実数の世界で微分可能」というのと「複素数の世界で微分可能」というのは、ぜんぜん厳しさが違うんです。
<いわゆる一致の定理の説明>
「複素数の世界で微分可能」という条件が厳しすぎるため、次のような不思議なことが成り立ってしまいます:「微分可能な2つの複素関数が、一部分で一致していたら、全体でも一致している(ざっくり表現)」(←!?)。他にも不思議なことが成り立つのですが、このようにもはや「実数の世界の微分可能」とは全く違うため、「複素数の世界で微分可能」な関数には「正則関数」という新たな名前がついているくらいです。
「2つの正則関数が部分的に一致⇒全体でも一致」を使えば、「正則な関数の定義域を正則のまま広げて得られる関数は1つしかない」ということがわかります。なので、できる限り広げたくなるし、広げた後は新しい関数に置き換えて考えていこう、という発想になります。
Σn^(-s) (nはすべての自然数を走る、sは任意の複素数)
これには「ゼータ関数」という名前がついていて、ζ(s)と表します。ちなみに、ζ(-1)というのが、「1+2+3+4+…」と一致しているわけですね(この時点では)。
このゼータ関数は、sの実部が1以下の場合は発散しますが、それ以外では収束します。そこで、その収束する部分に対しては収束値を計算し、次に上述の解析接続をするんですね。収束している領域では一致していて、かつ、正則な関数というのは1個しかないので、「発散している領域に対しては、その正則な関数で上書きする」ということです。
つまり、ζ(-1)はもともと発散していたんだけれども、解析接続によってζ(-1)が定義できるようになったんです(正則なまま拡張する、という条件で広げているので定義できるようになった)。複素解析の世界では、この新しい関数をゼータ関数だと思い直して扱うんです。もちろん、もともと発散していた領域に対しては、中身は違っているんですよね。
この新しいゼータ関数でのζ(-1)は、特殊な計算をすると-1/12と計算できるんですね。ただ、このζ(-1)を「1+2+3+4+…」と書いちゃうのは、厳密に言えば間違っているんです。解析接続した後は、式も変わっているはずだからです。
しかし、複素解析を学んだ人たちにとっては、解析接続をするのは自然なことだし、ゼータ関数が上のように解析接続して得られた関数であることも知っています。なので、「1+2+3+4+…=-1/12」と書いただけで、「あぁ、Σn^(-s)を解析接続してs=-1を入れた値が-1/12なんだな」とわかるんですね。
ちなみに、「無理やり」-1/12となる計算も書いておきましょう。上のように解析接続をすることには意味はありますが、次の式変形にはあまり意味はないです。その点ご注意ください。
まず、xの絶対値が1未満なら次が成り立ちますね。等比級数の和です。
1+x+x^2+… = 1/(1-x)
これをxの関数だと思って、両辺微分するとこうなります。
1+2x+3x^2+… = 1/(1-x)^2
上の式は、x=-1の時は成り立ちませんが、「無理やり」代入します。
1-2+3-4+5-… = 1/4
ここで左辺を「1+2+3+4+…」が無理やり出てくるように変形します。よくみると、偶数の箇所だけ符号が違うので、そこだけひけばいいですね。
1-2+3-4+…
= (1+2+3+4+…) -2×(2+4+6+…)
= (1+2+3+4+…) -4×(1+2+3+…)
= -3×(1+2+3+4+…)
これが上の式の右辺1/4に一致するので、1+2+3+4+…は-1/12と「無理やり」計算できます。しかし、何回も書きますが、数学的にはこの式変形は意味がないです。発散する式に値を代入しているからです。ただ、分かったつもりにはなるかもしれません。。「無理やり」というのは、「数学的には正しくないけど、形式的に式変形をする」という意味です。
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