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とはずがたり数理解析研究所講究録
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:
とはずがたり
:2018/05/30(水) 10:23:33
https://led.kenjisato.jp/intro.html
1.2.2 制御理論との違い
経済学と制御理論の扱う対象にはわずかながら違いがある。 制御理論では,制御変数を導入しなくても勝手に動作している対象を扱う一方で,経済理論では制御変数(例えば消費)は分析対象のモデルを構成する要素の一部である。したがって,経済モデルは A が正則であったとしても forward-looking(非因果的)な現象を表すように作られている。
力学系理論や制御理論で式(1.3)のようなシステムを扱うときには, 通常 x と同じ数だけの初期条件 (initial codition) を与える。 そのようなケースでは初期条件から出発してシステムの解を逐次的に求めることができるから, 解を求める上で特段の難しさはない。一方,経済学における forward-looking の表現は, システム方程式(1.3)とは独立している。 すなわち,変数(ベクトル) x の一部の要素に初期条件が与えられて, 残りの要素には初期条件が与えられないという形で forward-looking を扱う。 初期条件を持つ成分を先決成分 (predetermined component) とか先決変数 (predetermined variable)と呼ぶ。 初期条件を持たない成分を非先決成分 (non-predetermined component) とか非先決変数 (non-predetermined variable) と呼ぶ3。
例えば, 株式保有量を a ,株価を p ,株価に対する外的な影響を u として, ベクトル (a,p) が次の動学方程式を満たすというモデルを作ったとしよう。
[at+1pt+1]=B[atpt]+[0ut]
このとき a0 は初期値として与えられているが, p0 は a0 および u に対する予想に基いて決まるというのが典型的なマクロ経済学の問題である.
1.2.3 安定性と決定性
さて,一部の変数に初期条件が与えられていない問題をどのように解けばよいだろうか。 もちろん, a1,a2,… や p0,p1,… に対して何の制約も置かなければこのような問題を解くことはできない。
Blanchard and Kahn (1980) が提案した条件は次のようなものである。 経済主体は幾何級数よりも早いスピードで発散するような予想に基いて行動することはない。 すなわち,幾何級数より早く発散するような初期値を除いた結果,初期値を1点に定めることができれば, その点は一意の均衡である。しかし,動学方程式を満たしつつ, 安定性(非幾何的発散)を満足するような経路は一般には無数に存在する。一意的であるようなケースを 決定的 (deterinate) と呼び,決定的でないケースを 不決定的 (indeterminate) と呼ぶ。
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