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新・大中華世界的話題

384とはずがたり:2015/10/20(火) 17:24:33
井戸が干上がり、草原は枯れる中国西部。砂漠化とともに失われる価値観
2015年08月21日(金)17時00分
http://www.newsweekjapan.jp/ooba/2015/08/post-2.php

 中国の新鋭リー・ルイジュンの長編第4作『僕たちの家(うち)に帰ろう』では、古代シルクロードの一部として繁栄した中国北西部"河西回廊"を舞台に、少数民族"ユグル族"の幼い兄弟の物語が描かれる。
 
 両親が放牧に適した土地を求め、奥地の草原に移住しているため、兄のバーテルは祖父のもとで暮らし、弟のアディカーは学校の寮に住んでいる。ところが、祖父が亡くなり、夏休みに入っても父親が迎えに来なかったことから、兄弟は両親を探す旅に出る。二人だけでラクダに跨り、干上がってしまった川の跡を道しるべに砂漠を越え、放牧地を目指していく。

 これは、雄大な自然を背景に、兄弟の苦難や成長を描くだけの作品ではない。リー・ルイジュンは、経済発展を遂げた「東部」に対して後進地域とみなされ、また彼の出身地(甘粛省)でもある「西部」の現実を独自の視点で掘り下げている。

 彼の関心は映画の導入部に表れている。兄弟の祖父と父親、井戸掘り職人の会話から、農業用に井戸を掘りすぎて、地下水が涸れはじめていること、町の近くの草原が枯れかけているため、放牧できる場所を見つけるのが難しくなっていることがわかる。そんな会話には、砂漠化の問題が凝縮されている。

 川の上流や中流域で拡大する灌漑農業によって、川からの取水量が増加する。下流に影響が出て、取水が制限されれば、今度は井戸を掘って補う。地下水の水位が下がれば、さらに深い井戸を掘ろうとする。

 また、遊牧民の生活も変化してきている。牧草地を休ませるために、季節によって放牧地を移動するのが伝統的な牧畜だった。しかし、人民公社の時代に定住化が進み、改革開放以後には牧草地使用権が個人に配分される請負制度が導入され、草原が分断される。そして伝統的な牧畜も忘れ去られていく。

 主人公の兄弟は旅のなかでその結果を目撃することになる。川や湖は干上がり、水場だった井戸も涸れている。かつての川の底にはコンクリートで囲われた水路が埋め込まれているが、それは点と点を結ぶだけで、川の役割を果たすわけではない。弟が父親と春に通ったときにはまだ人がいた集落が、無惨な廃墟になっている。

 しかしこの映画は、兄弟の旅を通して砂漠化の現実を映し出すだけではなく、もっと深いメッセージが込められている。見逃せないのは、古代にまで視野を広げ、河西回廊を背景に遊牧民と漢族の世界が巧妙に対置されていることだ。

 この映画の冒頭に浮かび上がる字幕は、「紀元後初頭、チベット系遊牧民族が中央アジアへ進出」という表現から始まり、主人公となるユグル族について説明するだけでなく、河西回廊を様々な遊牧民が往来し、覇権を争ったことを物語る。


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