したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

新・大中華世界的話題

1046チバQ:2016/01/26(火) 22:48:26

「台湾ナショナリズム」を無視したい日本のリベラル

 さて、ネット保守系の人たちをずいぶんくさしてしまったが、実のところ台湾については一部のリベラル層の人たちの認識も同様に微妙である。蔡英文の政策が彼らに受けがいいのは当然ではあるのだが、だからといって恣意的な「解釈」をおこなっていい理由にはならない。

 以下に紹介するのは、リベラル派と思われるある映画監督のツイートだ(発言者個人を攻撃する意図はないので、アカウント名は伏せる)。見た限り、日本のリベラル層の人々にはこうした立場から民進党の勝利を喜ぶ人がそれなりに多くいた印象である。

 正直に言って、ネット保守の解釈よりは多少マシなものの「ズレている」感じである。

 なぜなら、蔡英文は「反格差」はさておき、決して反グローバリズムの政治家ではない。現地の中央通訊社によれば、蔡政権はTPPへの参加を望んでいるようだし、なにより蔡英文は当選翌日の1月17日に日本の交流協会の会長(事実上の在台日本大使館大使)とさっそく会談して日本とのFTA締結に意欲を見せている。国民が反グローバリズム政策を求めて支持した政治家が、当選した次の日に手のひらを返したとすれば由々しき大問題となるはずだが、これについて台湾世論はちっとも怒っていない。

 もっとも、より違和感があるのは、上記のツイートが蔡英文の勝因としての「反中国」要素をことさらに否定している点だろう。

 即時の「台湾独立」は望まないまでも、台湾を中国とは別の国家だと考える台湾ナショナリズムや、中国大陸を感情的に忌避する心理は、いまや本省人(数世代以上前からの台湾在住者)系の住民だけではなく外省人(国共内戦後に台湾へ移住した中国大陸系住民)の二世・三世まで広く共有されている。政党支持層でも「緑営」はもちろんノンポリや「藍営」の一部にも広がっている感情だ。今回、国民党が総統候補者を当初の洪秀柱から朱立倫にすげ替えたのも、親中国的な傾向が強すぎる洪秀柱では票が集まらないという判断が一因である。

 過去8年間、台湾では馬英九政権の過度の対中傾斜政策のもとで、大手テレビ局の多くが中国資本の顔色をうかがって報道を自主規制するようになったとされる。ヒマワリ学運の原因になった両岸サービス貿易協定についても、経済競争の激化や格差の拡大が懸念されたこと以上に、台湾社会のなかに資本という形で中国の「支配」が入り込む事態が多くの国民に嫌われたことが、あれだけ大きなデモが起きる要因となった(事実、当時私がデモ現場を取材した際も、「自由貿易には賛成だが中国との接近には反対」と話す国民党支持層の若者に会うことは珍しくなかった)。今回の選挙にしても、馬英九政権下での格差拡大への反発と同時に、経済に限定されない「親中国」方針を国民が支持しなかったことが、蔡英文や緑色陣営の躍進を生んだのは疑問の余地がない。

 投票日前日には、韓国で活動する台湾人女性アイドルがテレビ番組中で中華民国旗を手にしたことを中国側に激しく批判され、所属事務所の指示でYoutubeに謝罪動画を投稿させられる事件が発生し、台湾世論の大きな反発を招いた。台湾メディア『民報』が報じた世論調査によれば、この事件は20代の選挙民のうち16.5%の投票行動に影響したという。格差問題もグローバリズムも関係なく、16歳の少女にまで「政治」の踏み絵を迫る中国という国への憤りが選挙結果に影響した事実はやはり明確に存在するのだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板