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新・鉄道綜合スレ

5178OS5:2025/09/22(月) 08:15:34
 電鉄富山駅の2018年度の1日あたりの乗降客数は7699人と2010年度比18%増となる。定期外客が同33%増、定期客も同10%増で東新庄駅など富山市近郊の各駅の利用も増えた。また、2019年度の本線上市―宇奈月温泉間の主要駅の乗降人員数を見ると、2014年度比で約1割増えた。宇奈月温泉駅の2018年度の乗降客数が1日あたり880人(2010年度589人)、立山駅が同620人(同299人)など、インバウンドも含めた個人観光客の需要が伸びたことが背景にあると思われる。

 しかし、北陸新幹線開業後も、鉄道事業の営業損失は2016年3月期1.4億円、2018年3月期1.4億円と赤字が続き、根本的な改善はできていなかった。立山線の輸送密度は2005年度754人から2018年度920人と増加したが、それでも民間資本で維持管理できるレベルを大幅に下回っていた。

 富山地鉄が、十数年前に沿線自治体へSOSを出して、将来について協議を始めていれば、軟着陸できたかもしれない。

 富山県は公共交通機関の充実に理解のある土地柄である。富山市はコンパクトなまちづくりを展開し、富山環状線や富山ライトレールなどの事業を推進し、軌道線2.3kmは上下分離した。2024年度は富山地鉄の各事業に総額3.2億円の補助を出している。県も万葉線、あいの風とやま鉄道、城端線・氷見線などの実績も経験もある。県内に先例があるので、関係者に「公共交通を活かしたまちづくり」という理念を共有してもらうのは可能だったと思う。

 だが、経営判断は遅れ、コロナ禍で行き詰まってしまった。

■自治体の積極対応で延命の可能性もあるか

 富山地鉄の今後はどうなるのか。滑川市長と魚津市長、黒部市長は少なくとも2026年度まで支援できるよう検討すると表明した。富山県知事も立山線を基本的に存続させる方向で最大限努力していきたいと述べ、延命の可能性は出てきた。ただ、自治体との検討会は昨年秋にスタートしたところで、沿線7市町村でも富山地鉄鉄道線への依存度は濃淡がある。首長や有権者の温度差もある。その場しのぎの税金投入では先が見えない。

 鉄道事業再構築事業実施計画を実施して国から支援を受けるまで時間はかかる。みなし上下分離方式で国の補助制度を利用する場合の整備費が約600億円との試算がある。県と市町村がその半分を負担することになる。

 富山地鉄は、一部区間の廃線を示唆する一方、その後の輸送体系をどうするのか考えを示していない。

 仮に、立山線を部分廃止したら代替バスを走らせる必要がある。しかし、同社は運転手不足を理由に県内のバス路線を大幅に減便している。バス転換は可能なのか。本線滑川―新魚津間を廃線候補とするのは、あいの風とやま鉄道線が隣に走っているからだが、廃線後の事前相談をしているのだろうか。同社線との直通運転案は以前からあったが、事業費55億円と試算され2018年に検討は凍結された。関係者の調整は簡単な話ではない。

 経営陣が、地域に鉄道線の経営状況を説明する前に「数億円の赤字を補填してくれ」「自治体負担がなければ、一部区間の廃止も検討せざるを得ない」と一方的に牽制するから、「経営努力が足りないのではないか」「住民への説明を待たずに決めるのはいかがなものか」と各方面で不信感を抱かれる。廃線候補区間に関する説明も、今年だけで二転三転している。協議するにはあまりにも準備不足である。

■地域との「課題共有」が鉄道存続の鍵

 今、必要なのは、富山地鉄が、鉄道線の経営情報を公開した上で、自身の考え方を示すことだろう。一部区間を単独で維持できないと主張するならば、各区間の利用者数、利用状況、輸送密度などの数字を関係者に示して説明しなければならない。そして、過去にどんな経営努力をしたのか、なぜ経営が維持できなくなったのか、どうすれば利用者を増やせる可能性はあるのか、方向性を示して課題を共有する必要がある。

 公共交通機関を守るために地域で財政支援するのは不可欠である。ならば行政や首長、議員、そして有権者である住民に「理解」してもらわないといけない。自治体や住民との信頼関係を醸成するためにも、持続可能な計画を作成していくためにも、腹の探り合いをするだけでなく、今こそ丁寧な議論の積み重ねをしてほしいと思う。

森口 誠之 :鉄道ライター


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