[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
1001-
1101-
1201-
1301-
1401-
1501-
1601-
1701-
1801-
1901-
2001-
2101-
2201-
2301-
2401-
2501-
2601-
2701-
2801-
2901-
3001-
3101-
3201-
3301-
3401-
3501-
3601-
3701-
3801-
3901-
4001-
4101-
4201-
4301-
4401-
4501-
4601-
4701-
4801-
4901-
5001-
5101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
新・鉄道綜合スレ
5115
:
OS5
:2025/08/10(日) 12:39:38
国から突っぱねられた「無茶すぎる計画」
そして、中でも問題視されたのが「可部線の改良」だ。この路線はもともと私鉄だったこともあって駅間は短く、線路の規格も当時最新の地下鉄車両が乗り入れるには心もとない。かつ、線路わきにぎっしり住宅が建っているため、複線化はおろかホーム増設・延長すらひと苦労するありさまだ。
この可部線に地下鉄車両を乗り入れさせるため、広島市は「まったくの新道開削・可部線付け替え」という大胆な提案を国に持ち込んだ。可部線の西側、地図で照合すると現在の「イオンモール広島祇園」の西側あたりに南北へ幅広い新道を貫き、中央部に可部線を「de-press」(おそらく「掘割」の意と思われる)で設置するという計画が、資料に記されている。
こうしたプランは、地下鉄の建設費用と別に、500億円の工費と320戸の立ち退きを要した。当時、国鉄の改良工事にかける費用は100億円がせいぜいといったところ。前代未聞の投資を、東京でも大阪でもなく広島に投下するというプランに対して、国からの反応は「国鉄の財政悪化で大蔵省・運輸省が対立しているのに、そんな計画に補助金を出せない」という、取りつく島もないものであった。
ここで広島市が「自分たちで負担してやり抜きます!」とでも言えれば心証が違っただろうが、「地下鉄の工事や国鉄路線の改修・運営を誰が行うか」を明記せず資料を提出してしまい、まったく本気とみなされず、国との信頼関係を失ってしまった節がある。いま見ると「補助金が出ることを前提」にしすぎているきらいがあり、全般的にムシが良すぎるものだった。
「電車の葬式を出させない」路面電車の反撃が始まった
無理筋すぎる計画の他、予想外の事態も生じた。「路面電車の急激なグレードアップ・進化」だ。
広島電鉄の軌道線(路面電車)がもはや死に体であったのは、先に述べた通り。ここで、広島電鉄の新セクション「電車部門」の部長に奥窪央雄(おくくぼ・ひさお)という人物が着任し、廃止がささやかれる中で「電車の葬式を出す役なら断る」と広島電鉄に釘を刺したうえで、路面電車の存亡を賭けた改革を始めた。
「座席が破れたら自分たちで手縫い」「トイレの汲み取り作業も課長・係長が率先して行う」「バス部門が廃棄したネジを電車部品として再活用」——こうした倹約策を、奥窪氏を含めた管理職が率先して実行し、少しずつ赤字幅を削っていった。
社外では、路面電車のダイヤ乱れの元凶である「自家用車の軌道敷内通行(路面電車の線路上のクルマ走行)」を再度禁止すべく広島県警・自治体に働きかける、いわゆる「ロビー活動」といって差し支えない動きで、奥窪氏は各方面に徐々に味方を増やしていった。
広島県警はその後、路面電車とクルマが共存する西ドイツへの視察を行ったうえで、1971年に「自家用車の軌道敷内通行」を禁止。さらに「電車優先信号の設置」「市内の駐車禁止」などで路面電車の運行はダイヤ通りに安定し、客足が戻ったことで同年に黒字転換を果たした。
路面電車のアップデートも進んだ
広島電鉄と奥窪部長の攻勢はまだ続く。全国で路面電車の廃止が相次いでいたのを逆手に取り、新車で購入すれば1000万円はかかるであろう性能の車両を、1両50万円程度で各地からかき集め、前近代的な車両を一掃。これまで果たせなかった大量輸送のために、2両・3両分の長さで乗客を一気に乗せられる「連接車両」を次々と導入していった。
この時期に、広島の路面電車は「古ぼけた小さな車両で、数十人を低速で運ぶ」ものから、「最新の連接車両で100人、200人をそこそこ速く運ぶ」存在に進化した。もちろん地下鉄の輸送能力とは比べ物にならないが、地下鉄だと路面電車のように「原爆ドーム前・紙屋町・立町・八丁堀……」と200〜300メートルおきに乗客を拾うこともできず、路面電車存続・地下鉄建設の中止を願う声も根強かった。
路面電車の能力が一挙に向上した上、当初の目標であった「郊外への国鉄路線乗り入れ」も絶望的となり、地下鉄の建設が議論されることは徐々になくなり、計画そのものが立ち消え状態となってしまった。
地下鉄はないが「地下鉄扱い」の電車は、ある
それから時がたち、広島には現在「地下鉄事業者」ではなく「一部区間だけ地下鉄扱い」の新交通システム「アストラムライン」が走っている。1994年に開業したこの路線は、本通〜新白島駅の約1.9キロで地下を走行しているが、1744億円という建設費用の償還に苦しんでおり、やはり地下鉄を建設しなくてよかったのかもしれない。
地下鉄建設の構想が持ち上がって消え、おおよそ50年がたつ。そんな広島を「もし地下鉄があったら」「路面電車がなくなっていたら」という目線で、眺めながら歩くのも面白い。街の運命は、鉄道・道路を建設するかしないかで、結構変わるのだ。
宮武 和多哉
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板