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新・鉄道綜合スレ

2757チバQ:2019/09/02(月) 10:44:48
 以前、新幹線の開業で特急列車が廃止されても、貨物列車の運行を継続するため重厚長大な設備を維持しなければならない3セク鉄道の苦境を紹介した(「JR貨物に押しつぶされる三セク「えちごトキめき鉄道」の不運」参照)。福井県の並行在来線も、えちごトキめき鉄道ほどではないにせよ、収入の半分以上をJR貨物の線路使用料が占めるアンバランスな収益構造になる見通しだ。

 貨物列車の線路使用料は、貨物列車と旅客列車の運行本数の割合に応じて金額が決定する。つまり旅客列車を増発すると、貨物列車の割合が相対的に低下して線路使用料が目減りし、収入が大きく減少することになってしまう。福井県は、現行の特急列車全てが引き続き福井駅まで乗り入れた場合、年間7億円の減収になると試算している。

 これは特急増発に限った話ではなく、利便性向上のため普通列車を増発する場合でも同様に起こり得る。経営を下支えするための線路使用料の仕組みが、逆にサービス向上を妨げてしまっているのである。整備新幹線スキームの矛盾の一端が、ここでも現れているといえよう。

● 地元では並行在来線と私鉄の 経営統合も検討課題に

 とはいえ、暗い話ばかりではない。行政と事業者と住民が三位一体となって、積極的に公共交通を再構築してきた福井県ならではの展望も紹介しておこう。

 福井県ではこれまで、経営危機にひんした私鉄、京福電鉄(現えちぜん鉄道)と福井鉄道を行政主導で経営再建させるとともに、利便性向上に積極的に取り組んできた(「日本一の車社会、福井県で鉄道利用者が大幅増加している理由」参照)。

 南北に連なる福井市、鯖江市、越前市を並行するように縦貫するJR北陸本線とえちぜん鉄道・福井鉄道は、必ずしも競合関係にあるわけではない。駅間の短いえちぜん鉄道・福井鉄道は沿線の学校への通学輸送、また市街中心部への通勤輸送を、駅間の長い北陸本線は都市間の高速・大量輸送を担っている。特急が廃止されれば、普通列車の通過待ちもなくなるため地域鉄道としての利便性向上も期待されている。

 そこで福井県は2018年に決定した「並行在来線(北陸本線 石川県境・敦賀駅間)の経営・運行に関する基本方針」の中で、並行在来線とえちぜん鉄道、福井鉄道は一体化も含めた経営強化の方策について検討すると表明した。並行在来線と私鉄を経営統合した例はなく、実現すれば初めての事例となる。

 もっとも福井県総合政策部長は昨年12月の県議会で、経営の一体化により総務部門や保守部門の効率化や資材等の一括購入によるコスト削減などが期待されるとしながらも、賃金水準や運賃水準の統一化による経費増、収益減が懸念されると答弁しているように、現時点では公共交通網のサービス向上という観点では具体的な展望は示されていない。輸送サービス向上に必ずしも経営一元化が必要なわけではなく、これまで通り行政が主導することでサービスの一体化は実現可能だろう。

 しかし北陸新幹線の延伸により、対関西の特急輸送への影響が懸念される一方で、福井駅の「玄関口」としての役割が高まることは確実だ。福井駅から県内各拠点に延びる一体的な地域交通ネットワークは、利用機会の創出、回遊性の向上だけでなく、北陸新幹線と一体的に福井の魅力そのものを高め、PRする大きなシンボルにもなり得るだろう。またそれは生活路線としての鉄道再生から、地域路線としての鉄道再興へと、新たな挑戦の第一歩にもなるはずだ。福井県が並行在来線の新たな可能性を示すことを、筆者は期待してやまない。

枝久保達也


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