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新・鉄道綜合スレ

1549とはずがたり:2017/07/22(土) 00:42:00

輸送人員の推移をさらに細かく見ていこう。国鉄の分割民営化に先立つ1985年度と2011年度とを比較すると、東日本の大手私鉄8社25路線の輸送人員は東武の野田線、京急の久里浜線を除いて増えている。

増加の理由は、京王相模原線、小田急多摩線、京急空港線、相鉄いずみ野線では路線の延伸が実施されたこと、東武伊勢崎線・東上本線、西武池袋線、東急東横線・目黒線は地下鉄との相互直通運転開始による輸送需要の増加であろう。そのほかの路線は、沿線の人口が増えたことに伴って輸送需要もまた増加したものと考えられる。

他方で西日本の大手私鉄7社25路線では輸送人員が減少した路線が大多数を占め、増加した路線は名鉄豊田線、近鉄京都線・けいはんな線(2000年度との比較)、阪急今津線、阪神の阪神なんば線の5路線にすぎない。けいはんな線、阪神なんば線は路線の延長が実施された結果が反映されており、沿線の人口増加に伴って輸送人員が増えたと考えられる路線は、名鉄豊田線、近鉄京都線、阪急今津線だけとなってしまう。

西日本の私鉄はJRとの競争に敗れた
西日本の大手私鉄で主要路線・区間の輸送人員が減った理由はさまざまだ。たとえば名鉄は、名古屋本線や河和線、豊田線を除く各線では沿線人口の減少、また自動車への転移も考えられる。しかし、多くは並行するJR各社の路線との競争に敗れたからと言わざるをえない。

というのも、JRの主要路線の輸送人員の推移を見ると、軒並み大幅に上昇しているからだ。

具体的な数値を紹介しよう。中京圏ではJR東海各路線の躍進ぶりが目立つ。名鉄の名古屋本線と並行する東海道線岡崎─大垣間の輸送人員は1985年度の1億3194.2万人から2011年度には1億4852.6万人へと増えて12.6%の増加率を記録したのをはじめ、名鉄の河和線と並行する武豊線は379万人から698.8万人へと84.4%、近鉄の名古屋線と並行する関西線名古屋─河原田間は397.3万人から1461万人へ、267.7%という増加ぶりを示している。

京阪神圏でもJR西日本の各路線は軒並み大きな成長を果たした。近鉄奈良線と並行する関西線月ケ瀬口─JR難波間の輸送人員は8577.9万人から1億0598.1万人へと増加し、増加率は23.6%、京阪の京阪本線、阪急の京都、神戸の両線、阪神の本線とそれぞれ並行する東海道線石山─神戸間は4億7040.1万人から6億6091.5万人へと増えて、増加率は40.5%。阪急宝塚線と並行する福知山線尼崎─藍本間に至っては1635.5万人から9124.1万人へと実に457.9%もの驚異的な増加率をマークしている。

西鉄の天神大牟田線と並行するJR九州鹿児島線の輸送人員の推移は不明のため割愛するが、西日本の大手私鉄と並行するJRの路線のうち、1985年度と11年度とで輸送人員が増えなかったのは、1億2784.8万人から1億2347万人へと、3.4%減少したJR西日本の阪和線天王寺─山中渓間くらいしか見当たらない。しかし、同線と並行する南海本線の輸送人員は増加に転じることはなく、阪和線を上回る28.9%の減少率であった。

西日本の大手私鉄各線と並行するJR各社の路線との間で生じた明暗は、大手私鉄各社の怠慢というより、JR各社の変貌によるものと言ってよい。先に挙げたJR東海、JR西日本の各線は、国鉄時代には「汽車」と呼ばれ、大手私鉄と比べてスピード自体は速いものの、列車の運転本数が少ないうえに加速も鈍く、全体として鈍重な交通機関であった。

しかし、国鉄末期からJR発足直後にかけてJR東海、JR西日本の両社はこうした路線を大都市の鉄道にふさわしい姿へと改める。列車は増発され、時刻表を見なくても利用できるようになった。しかも大手私鉄の各線と比べて運転速度が速いという特徴はそのまま残された結果、旅客は徐々にJR各線へと移行していく。対する西日本の大手私鉄は、多くの路線でJRと並行しているという立地上の不利もあり、輸送人員の落ち込みが大きくなったとみられる。

「営業係数」一定を保つ私鉄の経営手法
しかしながらと言うべきか、だからこそと言うべきか、輸送人員の増減という波に翻弄されながらも、大手私鉄の営業収支はJR発足後もほぼ一定の水準を保っている。各社のバラツキは大きいように見えるが、実際には各社とも営業係数(100円の営業収入を上げるために必要な営業費用)は70台から90台前半までの間に収まっているのだ。

ちなみに、ライバル関係にあるJR各社の営業係数を1987年度・2012年度の順に挙げると、JR東日本は81・84、JR東海は92・68、JR西日本は91・89、JR九州は122・107である。大都市圏以外でも鉄道事業を行っているJR各社と大手私鉄を比較することは難しいものの、JR東日本やJR西日本の営業係数を見るかぎりでは、大手私鉄各社は健闘していると言ってよい。


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