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ロシア・韃靼・ユーラシアスレ

1とはずがたり:2014/05/04(日) 19:49:37
東欧・ギリシャ正教・中央アジア・旧ソ連諸国・シベリアなど

新疆とかは大中華スレとは棲み分け微妙な感じで場合によってはこちらにも。

前スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116784031/?q=%A5%A6%A5%AF%A5%E9%A5%A4%A5%CA

576とはずがたり:2016/04/08(金) 09:55:51
油価低迷でついに戦争へ、ナゴルノ・カラバフ炎上
大国に囲まれたアゼルバイジャンの苦悩
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46535
2016.4.7(木) 杉浦 敏広

?旧ソ連邦諸国では2016年前半、様々な動きがあった
?ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はロシア軍に対し2016年3月14日、シリア撤退を命じた。なぜ唐突にシリア撤退を発表したのか、様々な憶測が流れている。
?ロシア側説明では「目的を達したから」となるが、筆者は油価低迷により国庫財政が逼迫して、戦費調達に支障をきたしたのが最大の理由と考える。同様に他の旧ソ連邦天然資源諸国も、油価低迷により経済は危機的状況に陥っている。

?ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は4月5〜7日訪日予定だが、ウクライナ政局は流動化している。ポロシェンコ大統領の政権基盤は脆弱であり、政府は崩壊の瀬戸際にある。

?カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地域では4月2日、アゼルバイジャンとアルメニア間で長年の係争案件となっているナゴルノ・カラバフ紛争が再燃。
?両軍はいったん停戦合意したが、原稿執筆中の4月4日現在も戦闘は継続しており、多数の死傷者が出ている。
?日露関係に目を転じれば、今年は日ソ国交回復60周年記念の年になるので、安倍晋三首相は日露関係改善、特に領土問題解決に積極的に取組む姿勢を内外にアピールしている。この一環として、2016年5月6日にはロシア黒海沿岸のソチにてプーチン大統領と非公式首脳会談を予定しているが、会談に臨む日本側の焦りも見え隠れしている。

?油価下落傾向が続いている。油価下落に伴い天然ガス価格も低迷しており、旧ソ連邦諸国の原油・天然ガス生産大国は経済的危機に直面している。

?2015年末に策定された2016年度政府期首予算案の想定油価は1バレル40ドル(カザフスタン)と50ドル(ロシア・アゼルバイジャン)となり、2014年末に策定した2015年国家予算案想定油価の約半分となった。

?しかし現実の油価はさらに下落しており、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は2016年3月3日、2016年国家予算修正案に署名し、修正予算案は発効。2016年国家期首予算案の想定油価は1バレル50ドルだったが、修正案の想定油価は25ドルになった。

?4月17日には石油産出国約12か国がカタールのドーハに集合して、生産調整を協議予定と言われている。イランは制裁前の日量400万バレルに達すれば生産調整に同意するとの話も伝わっているが、イランの原油輸出量は拡大しており、現状では油価は40ドルを割り、下落傾向にある。
?4月17日の会議結果次第では、さらに下落する可能性もある。

【1】アゼルバイジャン概観
?経済構造は石油・天然ガス輸出額が輸出総額の9割以上を占める典型的な≪油上の楼閣型経済≫であり、石油・ガス依存型経済構造からの脱却が同国の喫緊の課題となっている。GDP実質成長率は2006年に24.5%を記録して以降、同国のGDP成長率の伸び率は減少している。

?米格付け会社S&Pは2016年1月29日、油価下落に伴い、アゼルバイジャンの長期格付けをBBB-からジャンク債レベルのBB+に1ノッチ下げた。

【2】アゼルバイジャンの政治体制

?旧ソ連邦は1991年12月25日に解体され、ソ連邦を構成する15の民族共和国は名実共に独立した。旧ソ連邦の盟主ロシア共和国はロシア連邦に、アゼルバイジャン共和国はアゼルバイジャン共和国として独立した。

?アゼルバイジャン大統領の任期は5年間である。2008年10月15日に実施された大統領選挙では投票率約76%、現職アリエフ候補は得票率約89%で当選、2期目の大統領に就任した。2013年10月9日に行われた大統領選挙は同国独立後8回目の選挙になった。投票率約72%、現職のアリエフ大統領候補が1回目の投票で約85%を獲得して当選、三選された。

?アゼルバイジャンは5カ国(ロシア・ジョージア・アルメニア・イラン・トルコ)と国境を接している。トルコとは国境を接していないと思われるかもしれないが、実は、アゼルバイジャンの飛び地ナヒチェバン自治共和国がトルコと国境を接している。

577とはずがたり:2016/04/08(金) 09:56:29

?現在3期目を務める同大統領の外交政策は従来同様≪全方位外交≫であり、この政策は将来も変更ないだろう。その理由は同国の地理的立場にある。北側国境はロシア連邦ダゲスタン共和国と国境を接しており、北の大国との平和共存が国家安全保障のカギとなる。

?イラン北部地域にはアゼルバイジャン本国の約3倍のアゼル人が居住していると言われており、イランとは微妙な関係にある。西の隣国ジョージアとは友好関係にあるが、現在でも国境線は4カ所で画定しておらず、国境画定定期協議が続いている。カスピ海東側の天然ガス大国トルクメニスタンとは、カスピ海領海線画定問題を抱えている。

?最大の問題はアルメニアとの領土紛争である。アゼルバイジャンは隣国アルメニアと領土問題を抱えている。国内のナゴルノ・カラバフ(「山の上の肥沃な土地」という意味)自治州はアルメニアの支持を受けて事実上独立状態だが、アゼル人は同地の奪還を強く望んでいる。

?他方、アルメニアは隣国トルコと紛争を抱えているが、敵の敵は味方ゆえ、トルコはアゼルバイジャンを支援している。付言すれば、アルメニアの後ろ盾はロシアである。

?ロシア正規軍はアルメニアとの条約に基づき、アルメニア本国のギュムリ市に駐屯している。この軍が動くと本格的全面戦争になるので、ロシア軍自体が動くことはないと予測する。

【3】炎上するナゴルノ・カラバフ
?アゼルバイジャン共和国は現在、国土の約20%がアルメニア側に占領されている。

?ソ連邦時代の1990年1月20日、首都バクーとその近郊ではアゼル人とアルメニア人の民族問題が勃発し、治安維持の名目で赤軍がバクーに侵攻、多数の死傷者が出た。

?旧ソ連邦解体後のアゼルバイジャン国内では、アルメニア系住民が多数派を占めるナゴルノ・カラバフ自治州を巡る民族紛争が表面化して、1992年に戦闘は激化。アルメニア軍は同自治州を含むアゼルバイジャン国土の約20%を占領した。

?その後ロシアの仲介により1994年に両国は停戦に合意したが、アルメニア側は停戦ライン沿いに地雷を敷設。その後も最前線では小規模な銃撃戦などが頻発していたが、今回の紛争は1994年停戦後、両国間最大の戦闘行為となった。

?今回の戦闘再開の原因として、ロシアとトルコの関係悪化・対立激化が背景にあると言われているが、真相は不明。ロシアは仲介に努めており、両軍は4月2日午後に停戦合意したものの、最前線では戦闘が継続している。双方が双方を非難しているが、アルメニア側に戦線拡大のメリットはなく、動機は領土奪還を悲願とするアゼルバイジャン側にあると推測される。

【4】アゼルバイジャンのエネルギー事情
?旧帝政ロシア時代の1848年、カスピ海沿岸バクーにて世界初の原油の商業生産が始まった。米国の原油生産は1850年代であり、世界の原油商業生産はバクー陸上油田をもって嚆矢とする。

?バクー原油は1900年には世界の原油生産の半分を占め、独ソ開戦の1941年にはバクー原油がソ連邦生産の約8割を占め、燃料(石油製品)を赤軍に供給した。

?同国の輸出金額の9割以上が石油(原油・石油製品)および天然ガス輸出である。
?代表的油田はカスピ海ACG(アゼル・チラグ・グナシリ)海洋鉱区であり、カスピ海原油を地中海沿岸のジェイハン出荷基地まで輸送する代表的パイプライン(P/L)がBTC(Bバクー・Tトビリシ・Cジェイハン)原油P/Lである。
?1997年にカスピ海ACG鉱区にて原油生産開始以降、右肩上がりの原油生産量であったが、2010年の5080万トンをピークとして、以後、原油生産量は減少に転じた。

?天然ガス分野ではカスピ海シャハ・デニーズ海洋鉱区天然ガス田開発プロジェクト、南コーカサス天然ガスP/L(SCP)があり、2016年3月現在、シャハ・デニーズ海洋鉱区第2段階(ピーク時生産年間160億m3)の拡張工事が進行中である。

?同国では2006年以降、グロス天然ガス生産量(総生産量)とネット生産量(総生産量-燃焼量-地下圧入量)を発表している。国内の火力発電所用燃料は天然ガスが主体であり、国内年平均ガス需要量は約100億〜110億m3なので、ネット生産量と国内需要との差が輸出可能量になる。

?欧州諸国はロシア産天然ガス輸入依存度を軽減すべく、代替供給源としてアゼル産天然ガスに期待しているが、新規追加可能生産量は少ない。かつ、2014年後半から始まる油価低迷が今後も続けば、延期・中止される新規構想も出てくるだろう。

578とはずがたり:2016/04/08(金) 09:57:04
>>576-578
?換言すれば、欧州側が期待している新規天然ガス供給源はトルクメン産ガスと制裁解除後のイラン産ガスしかあり得ず、トルクメン産ガスをカスピ海経由欧州に輸出するカスピ海横断天然ガス海底P/L建設構想が再度脚光を浴びることになるだろう。

【5】アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)と国家石油基金 (SOFAZ) 概要(1)SOCAR(State Oil Company of Azerbaijan Republic)

?SOCARは1992年9月13日付け大統領令第200号により設立され、1993年2月26日付け大統領令第328号により経営形態が確立。現在、下記2つの大規模プロジェクトを推進中である。

① カスピ海シャハ・デニーズ(Shah Deniz)海洋鉱区第2段階プロジェクト:
?シャハ・デニーズ海洋鉱区では、2006年末に天然ガス生産を開始。第1段階の天然ガスは南コーカサスP/L(SCP)にて、ジョージアとトルコに輸出されている。同海洋鉱区第2段階に関して、コンソーシアムは2013年12月17日、最終投資決定(FID)を発表した。

?同海洋鉱区天然ガス開発第2段階の総工費は従来、輸送インフラも含め計約400億ドルと言われていたが、アリエフ大統領は2013年12月17日、総工費は450億ドルになったと発表。また、同鉱区のPSAは2048年まで延長された。

② 石油ガス化学産業発展構想 (Oil, Gas, Petrochemical Complex):
アゼルバイジャンは天然ガスの有効利用を目指しガス化学産業発展にも注力しており、同国のガス化学産業発展構想には日本企業も協力している。

?SOCARは2012年4月10日、アゼルバイジャン石油ガス化学総合発展計画 (OGPC) を発表した。首都バクーから南西へ約60キロのGaradag地区に製油所や処理工場を建設するもので、SOCARによると同計画の総工費は124億米ドル(金利を含めると144億ドル)、資金回収目途7年間とされた。

?同構想の概要は、●新規製油所建設(62億ドル)●ガス処理工場(24億ドル)●石油・ガス化学(38億ドル)からなる。しかしSOCARは2013年11月、同石化構想の一部延期を発表。当初は新製油所完工後にバクー市内の旧式製油所は解体される予定であったが、同石化構想延期に伴い旧式製油所解体も当面延期されることになった。

?延期の理由は公表されていないが、本構想は2014年後半以降の油価下落により資金手当てが困難になったと言われており、今後の実現性は資金調達次第となるだろう。

(2)SOFAZ (Stae Oil Fund of Azerbaijan) :

?SOFAZは1999年12月29日付け「SOFAZ設立に関する」大統領令第240号により設立され、2000年12月29日付け大統領令第434号により運営形態が確立。2001年6月19日付け「SOFAZ資産管理規定」に関する大統領令第511号により実務を開始した。
?同社設立の目的は、アゼルバイジャンの天然資源収入を効率的に運用して、現世代および次世代の福祉向上に活用することと規定されている。
?同基金の最大支出項目は国庫歳入への繰入金である。同基金資産残高は2015年1月1日現在371億ドル、2016年1月1日現在336億ドルとなり、約10%減少。SOFAZ設立後初めて、資産残高は減少した。

?SOFAZの 2016年修正案では、収入は45.78億AZN。収入のうち、石油・ガス関連(利益原油・ガス)が38.76億AZN(収入の約85%)になる(参考:2016年3月現在?US$1≒1.6AZN)。(出所:アゼルバイジャン国家石油基金)

?油価低迷により同国の貿易黒字は激減、金・外貨準備高は半減、国家石油基金残高も初の減少を記録。同国経済は愈々、未曽有の胸突き八丁に差しかかった。

?今回のナゴルノ・カラバフ炎上は畢竟、失地奪還を目指す内憂外患のアゼルバイジャン側の動機が色濃く反映しているのかもしれない。


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