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ロシア・韃靼・ユーラシアスレ
431
:
名無しさん
:2015/08/30(日) 16:23:33
>>430
先端軍事技術に対する鋭い視線
ただし、ロゴジンはときとして安全保障問題、特に先端軍事技術に対して鋭い見解を披露することもある。筆者がなるほどと思ったのは、2009年、米国が東欧へのミサイル防衛(MD)システム配備計画を修正した際のことだ。当時、米露間では、ブッシュ政権時代に決定されたチェコとポーランドへのMDシステム配備が懸案となっていたが、オバマ政権はこれを撤回し、イージス艦を中心とする新計画へと切り替えたのである。米国はこれを戦略的な再編に過ぎないとしたが、ロシア側には、これがロシアの「外交的勝利」であると捉える向きも多かった。
しかし、ロゴジンは、「北極の氷が減少していることを考えれば、イージス艦が北極海に展開してくる可能性があり、こちらのほうがロシアのICBMを迎撃可能な範囲は広がる」との懸念を示したのである。その後、米露「リセット」のユーフォリアが薄れ、再びMD問題が先鋭化すると、実際に北極海へのイージス艦展開が問題になったことを考えれば、まさに慧眼というほかない。
さらにロゴジンは、米国が核弾頭では無く重金属などの非核弾頭を搭載した極超音速弾道ミサイル計画を進めていることにも早くから注目し、これに対抗する手段や、ロシア独自の極超音速兵器開発を行う態勢の確立を主張してきた。昨年末に改訂された軍事ドクトリンに見られるように、こうした極超音速兵器は昨今のロシアで注目を集めているところであり、この点でもロゴジンには先見の明が感じられる。
軍需産業の代弁者
ロゴジンはロシアの軍需産業の代弁者としての顔も持つ。以前からロゴジンは、軍需産業の影響力が強い軍需産業委員会のメンバーとして装備調達の改革や外国製兵器の導入を進めようとするセルジュコフ国防相らと対立してきた。セルジュコフ国防相がイタリア製軽装甲車の導入を決めた際には、ロシア製装甲車を「自家用車」として購入する一方、「雪上性能ならばロシア製の方が上だ」などとしてロシア製装甲車のシェアを守るべくキャンペーンを繰り広げた。
さらにウクライナ危機勃発後、ロシアがフランスに発注していたミストラル級強襲揚陸艦の引き渡しが停止された問題では、ロゴジンが、自らの手元にフランスからミストラル引き渡し式典の招待状が来ていることを現物の写真付きでTwitter上で暴露し、フランス政府は釈明に追われることになった。仕事を奪われたロシア造船業界は以前からミストラルの購入に反発し、今回の引き渡し停止を好機と捉えていたから、ロゴジンの暴露は引き渡し妨害を狙った工作であった可能性もある。
このように様々な顔を持つロゴジンは、ロシアの安全保障をウォッチする上で見逃せない人物と言えよう。
小泉悠
軍事アナリスト
早稲田大学大学院修了後、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究などを経て、現在はシンクタンク研究員。ここではロシア・旧ソ連圏の軍事や安全保障についての情報をお届けします。『軍事研究』誌でもロシアの軍事情勢についての記事を毎号執筆。
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