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ロシア・韃靼・ユーラシアスレ

1158名無しさん:2019/03/29(金) 22:52:40
 ◇改革が進んでいないわけではないようだが……

 14年6月に就任したポロシェンコ氏は多くの分野での改革を約束した。私も16、17両年、改革を担当していた大統領府副長官を取材し、「改革の進捗(しんちょく)」について説明を受けた。かつて地方自治体は税金をすべて中央政府に納め、改めて中央政府から予算を受け取っていたが、今ではこの分野の地方分権が進んだと聞く。査証(ビザ)のオンライン申請を受け付けるなど、各種の行政サービスも向上したそうだ。またポロシェンコ政権が「改革の痛み」として電気やガス料金を値上げしたことから、国民の反発を買っているとも指摘されている。改革が全く進んでいないわけではないようだ。

 しかし私がウクライナ各地で話を聞いた限りでは、大部分の国民が改革の進展に不満を抱いていた。「一部の改革は進んでいる」と答えた人たちですら、ポロシェンコ政権にとどまらず、ティモシェンコ氏をはじめとした既存政治家への不信感を隠そうとしなかった。政治家はオリガルヒの操り人形に過ぎず、その権益に反するような改革に踏み込まない――。多くの国民の疑いは解けていない。

 ガタガタ道が続いたのは、マリウポリからオデッサへの行程だけではなかった。ロシアが実効支配するクリミアを出て、中南部ヘルソン州からマリウポリへ向かう幹線道路もひどかった。オデッサに着いた翌日に西へ向かう道も舗装がひどい箇所が多かった。国が道路舗装などのインフラ整備に十分な予算を充てていないのか。もしくは予算自体が計上されていても、どこかにお金が流用されてしまっているのか。あちらこちらで舗装が悪い道に遭遇し続けた。

 この日も予期せぬ道のへこみに遭い、バディムさんが運転するマツダ車もガタンと揺れた時があった。「まったく、ひどいものだ。日本車のステアリング技術に救われたよ」。ぼやきが聞こえてきた。

 ◇肥沃な国土も生かし切れず

 ウクライナ国内でも土地が肥沃(ひよく)だといわれるのが、この日に通ったヘルソン州だ。マリウポリを出発してから数時間ぐらいたつと、どこまでも平らな土地が道の左右に広がっていた。「ウクライナは本当に豊かな国土を持っているんだね」。私はバディムさんに相づちを求めた。この国土と国の潜在性をきちんと生かしていない――。バディムさんからはこのような趣旨の答えが返ってきた。

 今回のウクライナ出張では、国の行く末に前向きな人とも出会っていた。「多くの知り合いが夢を求めてヨーロッパに行ってしまった。それでも僕はウクライナに未来があると信じている」。首都キエフのタクシー運転手、エフゲーニさん(35)はこう話していた。「ソ連時代のウクライナは『ソ連の食料庫』と呼ばれていた。農業の生産力を上げれば、きっと成長できるだろう」と力説していた。

 今、その肥沃なウクライナの大地を車で走っている。周囲を見渡すと、ところどころで草が生え始めている。長い冬が終わりを告げ、春の始まりを迎えたようだ。辛らつな発言が多かったバディムさんですら、うれしそうだ。「見てください。緑が顔を出している。春が始まっている」と。

 ソ連崩壊と独立から28年。この先、ウクライナという国にとっても「長い冬」が終わりを告げ、「春」が訪れる日はあるのだろうか。国の行く末を決める大統領選の投票日は、すぐそこまで来ている。【大前仁】


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