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貧困スレ
170
:
チバQ
:2011/11/20(日) 20:43:09
◇
〈たすけて〉
平仮名で書いた紙の切れ端が入った封筒が男性の部屋に残されていた。
宛先に書かれていたのは母方の叔父(66)。駅に近いマンションで暮らしている。
「逃げたと思ってた。餓死とは意外やった。できるか? 40前の男が食えないまま閉じこもって死ぬなんて」
叔父の言葉は辛辣(しんらつ)だった。
「誰も悪くない。本人の責任」
男性の家族が借金問題を起こすたびに親族が尻ぬぐいをしてきたという。男性の収入は少なく、同居する母親の月8万円の年金と叔父らの資金援助が頼りだった。「完全なパラサイト」と断じた。
「もう、情けないよ……」
叔父は高卒で地元のセメント会社に就職。「粉まみれになってがんばった」と言う。「金を稼げるならなんちゅうことはなかった」。いまなら3Kと言われる職場だ。先輩後輩、社内の人間関係でつながっていた。簡単に辞めていく人間はいなかった。そうして定年まで勤めあげた。
叔父にとって、おいっ子は歯がゆい存在だったろう。
男一人なら生きていける、と母親が病死したあとは援助をやめた。
男性が飲食店を掛け持ちで働き始めたのはこの後だ。
食堂の時給680円、居酒屋800円。午前8時から日付が変わるまで働いて、月収は20万円に届くかどうか。
二つの店と自宅とはほぼ一本道でつながっている。車検が切れた軽自動車で単調な道のりを往復する日々、何を考えていただろう。
昨年1月、門司区役所に生活保護の相談に行っている。相談記録票には、飲食関係の正社員に限定して求職中と聞き取った内容の記載に続き、「相談結果の処理」の欄にこう書いてあった。
〈39歳、健康体であれば何か仕事はあるはずである〉
「幅広く探してみる」と男性は保護を申請せず帰った。
男性を追い込む直接のきっかけとなった借金の理由は取材ではわからなかった。督促状は丁寧にクリップで束ねられ、6社から計150万円に上った。家に5台も残されていた携帯電話も謎だった。
頼ったのは結局、親族。昨年2月に大阪にいる4歳上の兄に連絡して金銭的な支援を頼んでいる。叔父は兄からの電話で経緯を聞き、借金問題にはかかわらないように忠告したという。
その兄に電話で取材を申し込むと、仕事で多忙だから、と断られた。もう一度かけても答えは変わらず、心境を聞くことはかなわなかった。
未投函(とうかん)の叔父あての手紙。封筒の表書きがぴしっときれいな字で書かれているのに、〈たすけて〉の文字は弱々しかったという。
出すか、出すまいか。
命が尽きる寸前まで迷ったのではないか。
弱い自分をさらけ出し、助けにすがってまで生きる。生き延びたとして、その先に希望があるのか――。電気が切れ、真っ暗な借家で煩悶(はんもん)するやせ細った39歳を想像した。
叔父の言葉が、私の頭にこびりついている。
「すがるところが無くなった。だから、死んだ」
財布に残されていた現金は9円。叔父は、これもメッセージだと受け取った。
「食えん(9えん)」
菩提(ぼだい)寺のさい銭箱に投げ入れたという。
私もやってみた。1円玉4枚と5円玉1枚。軽い硬貨が乾いた音をたてて落ちた。
■救いの手にすがる難しさ
餓死した39歳の足跡をたどって見えてきたものは、孤立した働き盛りを支える「希望」の無さだった。
正社員を辞めた時期にバブルが崩壊。職を転々とした男性の生活は、母親の年金や親類の援助で成り立っていた。「自分の店を持ちたい」と周囲に語っていたが、実際には蓄えと呼べるものは無かったようだ。若いころ交際相手がいたが未婚のままで母親と2人で暮らし、その母親を亡くすと、孤立無援になった。
男性が最後に職を失ったのは、リーマン・ショックのあと。同じ時期に自動車工場を解雇された元同級生(41)は「ひとごとではない」とおびえていた。自分も親がいなかったら生活できなくなっていた、と。
男性には、支え、支えられる存在としての家族がいなかった。だがほかに助けを求める先は無かったか。
心配してたびたび様子を見にきていた家主、弁当を持たせた元同級生の母、生活保護の窓口……。すがってもいい、どこかで一言を絞り出してほしかった。(井上恵一朗)
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