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貧困スレ

162チバQ:2011/11/20(日) 20:40:13
■街のアパートで一人また一人

 開け放しの共同玄関は、昼間でも暗い。目をこらすと、男物の靴ばかりが並んでいるのが見えた。靴を脱いで上がると、冷たく、湿ったような感触が足の裏に伝わる。

 東京都北区の2階建てアパートの一室で6月、50代とみられる男性が遺体で見つかった。死後8カ月経っていた。

 商店街の外れにあり、スピーカーは一日中、歳末福引の案内を流している。呼び込みをする八百屋の店先で、買い物客が世間話に興じる。

 2階の廊下には、前日の雨漏りでできた水たまりがあった。その奥に、部屋がある。「今でも時々においが漏れてくる。いい気持ちはしないけど、もう慣れたよ」。案内してくれた隣の部屋の住人(63)がいう。

 遺体の周囲には、食べ物のゴミや酒の空き缶、たばこの吸い殻が散乱していたという。部屋からは生活音もほとんどせず、人を避けるように暮らしていた。

 このアパートでの孤独死は、今回が初めてではない。「ここに住んで20年だけど、記憶にあるのは4人くらいかな」。10年ほど前には、今回と同じ部屋で高齢の男性が亡くなった。開いたままのドアから寝ている足が見え、「暑いから開けてるのかな」と思っていたら、翌日になっても同じ格好だったという。

 アパートが建ったのは昭和30年代、半世紀ほど前だという。そのころは家族連ればかり。共同台所を囲み、みな銭湯に通った。「改築して台所を中に作ってから、中のことがわかんなくなっちゃったね」と長年管理をしてきた男性(76)はいう。元々、管理人としてここに住んでいたが1年半前、転居した。「住んでれば気づいただろうけど」

 隣のアパート兼店舗も、同じ頃に建てられた。ここでクリーニング屋を営む店主は振り返る。「昔はどちらのアパートも家族連ればかりだった。表で子どもが遊んでいてにぎやかだったよ」

 単身男性ばかりの今、誰が住んでいるかすらわからない。店舗の上のアパートでも数年前、男性が孤独死し、数カ月後に見つかった。「すぐ上でも気づかないもんだね」と店主は天井を見上げた。

 十数年前、近くに大型スーパーができ、通りの店は次々に姿を消した。店先で話しこむ客も減った。豊かになり、求められるものは変わった。

 亡くなった男性は10年ほど前に入居したという。偽名だったため、当初は身元がわからず、「行旅死亡人」として、区が火葬した。その後、身元はわかったが、生前語っていた本籍地や年齢とは全く違っていた。

     ◇

 首都圏の大規模団地で11月上旬、死後3カ月以上経った男性(79)の遺体が見つかった。遺族に依頼された遺品整理会社「あんしんネット」の作業に同行した。

 部屋に一歩入ると、防臭マスクを通してすら強烈な異臭が鼻を突く。昭和40年代の団地に典型的な2DKの間取り。ちゃぶ台には、食べかけのご飯やみそ汁がそのまま残っていた。

 居間として使われていた南側の部屋が最期の場所だった。食事をしている途中に倒れ、そのまま亡くなっていた。床に広がるおがくずのような茶色い粉は、皮膚や体液が乾いて固まったものらしい。カレンダーには7月10日まで斜線が引かれていた。

 第一発見者の長女(52)夫妻は、団地から車で1時間ほどのところに住んでいる。

 男性は山形県出身。サラリーマンで、70歳まで現役で働いていたが、2年前に妻を亡くし、あまり出歩かなくなった。「けんかでも相手がいた方がいいな。一日口きかないの、つらいな」という言葉が、長女の耳に残っている。

 それでも、同居の勧めにはなかなか応じず、ようやく説得し、家を改築しているところだった。「商売や引っ越しで忙しくて」。もっと早く連絡していれば、早く改築を始めていれば――。長女は後悔の言葉を重ねた。

 10棟以上の建物に囲まれた公園で、日が暮れるまで、子どもたちの歓声が響く。スーパーや八百屋、医院まで併設されている。発見時、ポストには郵便物があふれ、テレビはつけっぱなしだったが、男性の死に気づいた人は誰もいなかった。

 市民が当たり前の生活を営む場所の一角で、人知れず孤独死が発生する。そんな時代を、この国は迎えている。

 管理事務所は、一人暮らしだということも把握していなかった。発見前日、隣人から「虫が増えた」と苦情が入ったが、ポストに「対処してほしい」と書いた紙を入れただけだった。


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