したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

宗教

305とはずがたり:2015/01/30(金) 14:47:40
>>305-306
 こうしてみると、神社本庁の主張はほとんど右翼民族派のそれとかわりがない。いや、それ以上の極右ということがよくわかるだろう。しかし、それも当然だ。そもそも神社本庁という組織自体が祭政一致と対をなす「国家神道」復活を目的に作られた団体だからだ。
 国家神道というのは、いうまでもなく、日本の近代化にともなって推し進められた神道国教化政策のことだ。天皇にいっさいの価値をおくことで近代国家の統合をはかろうとした明治政府は、神道をその支配イデオロギーとして打ち出す。そして、そのために神社を国家管理の下におき、地域に根付いて多様なかたちをとっていた神社を伊勢神宮を頂点に序列化。民間の神社信仰を皇室神道に強引に結びつけ、天皇崇拝の国教に再編成していった。
 この国家神道から、国民には天皇への絶対的な忠誠が強要され、日本だけが他の国にはない神聖な国のあり方をもっているという「国体」という観念が生まれた。そして国体は八紘一宇という思想に発展し、侵略戦争を正当化していった。つまり、国家神道は「現人神」の天皇の下、軍国主義、国家主義と結びついて、第二次世界大戦へと突き進む思想的支柱だったのである。
  しかし、1945年、太平洋戦争で日本が敗戦すると、GHQは信教の自由の確立を要求。神道指令を発布し、国家と神社神道の完全な分離を命じた。神道を民間の一宗教法人として存続させることは認めたもののの、徹底した政教分離によって、国家神道を廃止させようとした。

そこで、神社関係者が1947年に設立したのが宗教法人神社本庁だった。その目的は明らかに、国体と国家神道思想の温存にあった。宗教学の権威・村上重良はその著書『国家神道』(岩波新書)でこう書いている。
「神社本庁は、庁規に『神宮ハ神社ノ本宗トシ本庁之ヲ輔翼ス』(第六十一条)とかかげ、伊勢神宮を中心に、全神社が結集するという基本構想に立って設立された。これは、国家神道の延長線上で、神社神道を宗教として存続させようとするものであった」
「神社本庁の設立によって、国家神道時代の天皇中心の国体と神社の中央集権的編成は、形を変えただけで基本的存続することになった。」
 そして、1960年代に入ると、神社本庁は国家神道復活の動きを強め、1969年に神道政治連盟、1970年に神道政治連盟国会議員懇談会を設立する。村上は当時、こうした動きをこう批判している。
「しかも、反動勢力と結ぶ神社本庁の指導者層は、民主主義を敵視して時代錯誤の国家神道復活を呼びかけ、この主張を、傘下の七万八千余の神社に上から押しつけることによって、神社神道が、みずからの手で自己を変革する可能性を封殺しているのである。」
 もっとも、こうした時代錯誤の狂信的な思想も一宗教団体が掲げているだけなら、それをとやかくいうつもりはない。だが、この思想は確実に自民党の国会議員を動かし、現実の政策に着々と反映されてきているのだ。
「神政連が国議懇と連携して進めた運動の成果には元号法制化、国旗国歌法や『昭和の日』の制定(略)皇室典範改悪や夫婦別姓法案の阻止などがある」(「戦後の神社・神道  歴史と課題」神社本庁総合研究所監修/神社新報創刊六十周年記念出版委員会/神社新報社)
 2000年には森喜朗首相(当時)が「日本は天皇を中心としている神の国」という「神の国」発言で物議をかもしたことがあったが、この発言は神道政治連盟国議懇の設立三十周年記念祝賀会での挨拶だった。
 そして、冒頭でも述べたように、安倍内閣では19閣僚中16人が神政連国議懇のメンバーで占められ、その政策はほとんどが、神社本庁=神道政治連盟が掲げる政治目標と見事にシンクロしている。自主憲法の制定、国軍の創設、靖国神社での国家儀礼の確立、道徳・宗教教育の推進、東京裁判と侵略戦争の否定、A級戦犯の擁護、夫婦別姓反対……。さらに、山谷えり子拉致問題担当相、有村治子女性活躍担当相というゴリゴリの保守思想で話題になった2人は、神社本庁がたてた候補者といっていいほど、同団体と密接な連携をしている。
 今、我々が真に問題にすべきなのは、在特会やネオナチといったそう大きな影響力のないカルト団体との関係ではなく、日本最大の信者数9125万人を誇り、社会的にも完全に認知されている神社本庁と政権の一体化、そして、この宗教団体がもつ本質のほうではないか。
 断っておくが、この団体がもっている思想は、日本古来の伝統や神社信仰とはまったく異なるものだ。むしろ、神社本庁は神道が古来より大切にしてきた信仰を踏みにじるような行為も平気でやっている。次回の原稿ではそのことを検証してみたい。
(エンジョウトオル)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板