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金融政策スレ

173とはずがたり(2/4):2009/11/15(日) 14:36:01

 これを避けるためには、民営化して、リスクを取って利ざやが取れる貸し出しなどで資金を運用できるようにしなければならない。だが、そのときには普通の金融機関とのイコールフッティング(競争条件を同一にすること)が問題となる。「郵貯」だけが競争条件で優遇されているとすれば、市場から許されない。

 だからこそ「郵便貯金」を民営化するにあたっては、ほかの金融機関と同様に「金融法」に則り、同じルールで競い合う必要があった。「金融法」は郵便貯金・郵便事業・簡保事業などが渾然一体となっている経営の在り方は想定していないから、「金融法」の規制をかけるのならば、郵便の各事業を分ける「分社化」を進めることが必須だったのである。

 さらに分社化にはリスク遮断という理由もある。郵貯、簡保、郵便どれをとっても、いずれ破綻するだろう「じり貧事業」ばかりだ。もし郵貯がダメになっても分社化しておけば預金保険でカバーされ貯金者への迷惑は最小限度にできる。

 もっとも、分社化といっても、リテール部門は兼業メリット(範囲の経済性)があるので、郵便局会社としてまとめている。これが四分社の理由だ。

 そのうえで、民間の人を入れて、リスクを取った貸し出しもして、「普通の金融機関」として収益を稼ぐ姿を作り上げなければならなかった。そして株式を売却して、通常の会社と同じく、市場の厳しい目で経営をチェックされる姿にならねばならなかった。

 だが、この姿は「郵政ファミリー」の方々には許せなかったのだろう。ついに亀井大臣の下、郵政民営化・四分社化が見直されることになったのである。

◇膨大な累積赤字はもはや必定◇

 民主党の関係者は「民営化自体は否定しない」「国の機関に戻すことを求めているわけではない」という。だがその一方で「四分社化は見直す」というのは、詭弁だ。いま述べたように、じり貧の三事業を自立させ、しかもリテールでの兼業メリットを生かした「民営化」のために四分社化が必須だからだ。これを見直すならば、制度として「民営化」とは程遠い「まやかしの民営化」になる。こうした「まやかしの民営化」は、来年参議院選挙で郵政関係者が自由に政治活動し、民主党を応援してもらうためだ。

 民営化を進めるために迎えられた西川善文社長も追い出されるように辞任を強いられ、日本通運と日本郵便の宅配便事業の経営統合も目前で頓挫。民営化を行なうことを前提に、民間の金融機関や保険会社から多くの人材も集っていたが、「郵政見直し」の話が出たことで、彼らは皆、元の会社に戻ってしまった。

 残っているのは官僚ばかり。もはや、実態としても民営化には戻りようもない姿になってしまっている。こんな状況では、リスクを取って運用益を出すノウハウなどないから、今後、どのような姿になるにせよ、「郵政」はやがて何もできないで潜在赤字を垂れ流すだけの存在になり、いつか累積赤字が顕在化することは必定である。

 たとえば、毎年1兆円の潜在赤字が十数年続き、十数兆円規模の累積赤字となったら、その尻拭いを誰がするのか。結局は国民の税金を投入するしかなくなるだろう。

「民営化」がいけない、「国営」がいいという信念をもつのは自由だが、それを貫くためにはコストが掛かる。そのコストをどうするかまできちっと覚悟を固めて、初めて「見識ある意見」だといえよう。「ゆうちょ」の赤字は税金で負担するというかたちにしたいのならば、そのように訴えて、国民の信を問えばいい。ただしその場合でも、「まやかしの民営化」でお茶を濁すよりも「国営化」ないし「公社化」に戻したほうがはるかにマシであろう。


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