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仙台・宮城・陸奥
3082
:
荷主研究者
:2018/03/18(日) 14:40:31
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00464836?isReadConfirmed=true
2018/3/8 05:00 日刊工業新聞
未来を創る みちのくの情熱(中)震災7年「東北ルネサンス」
■創業の気持ちで再スタート/熱意を持った若者集める
先輩から指導を受けつつ製品を検査する雪ヶ谷精密工業の吉田さん(右)
【大きな変化】
東日本大震災で被災した多くの企業は、閉塞(へいそく)感に満ちた昔の東北を取り戻すつもりはない。過去に積み上げた遺産を踏襲しつつも、事業形態を変えるなど創業の気持ちで再スタートを切る。カギを握るのは人材確保だ。人手不足に悩みつつも、東北に貢献しようとする若者の姿も現れてきた。
大正時代から続く水産加工製造・販売の斉吉商店(宮城県気仙沼市)。震災直後に、業務形態を業務用から小売りやレストラン経営などに大きく変えた。震災を契機に自社のあり方を見直し、「一般消費者と直接向き合う方が自社の風土にマッチしている」(斉藤和枝専務)と気付いた。
もう一つ大きな変化があった。2017年度の採用で初めて「どうしても斉吉商店で働きたい」という新卒を雇用できた。人口流出が深刻な地域にあって、そうした若者の存在は大きな希望だ。
気仙沼市は日本有数のサンマ水揚げ量を誇る。看板商品の「金のさんま」は震災時に社員が命がけで持ち出した、甘辛い返したれで煮込んでつくる。「気仙沼、東北の若者が誇りを持って働けるように」(斉藤専務)、ピカピカに光る伝統の味を全国、そして世界へ届け続ける。
【遅れ取り戻す】
雪ヶ谷精密工業(気仙沼市)は、震災後初めての新卒を17年に採用した。入社からほぼ1年が経過した吉田凌さんは、たくましく成長した姿を見せる。「覚えなければならないことは多いが、先輩たちはみんな優しい」。
主力の医療用機器の売上げも、いわゆる“震災特需”が落ち着き、平常運転になった。「いつまでも震災と言ってられない。遅れた分を取り戻さなくては」(菊田芳政専務)。マーケットは成熟しており、販売台数が年々微減している。製品に新たな機能を付加するなど改良を重ねつつ、閑散期の生産余力を使って他の医療用製品を生産できないか模索する。
【新たな伝統】
「気仙沼に造船業を残したい」。木戸浦造船など4社が中心となって同市で立ち上げた「みらい造船」。各社は4月に正式合併し、一つの会社となる。19年に完成予定の新工場も着々と工事が進む。船舶を陸揚げするためのシップリフトなど最先端の設備を備える。陸揚げを指揮する「上架隊」は花形部門で、「将来的には女性が担ってほしい」(木戸浦健歓社長)と夢を語る。
一番の課題は、熱意を持った人を何人採用できるか。創業から100年近い造船業者もあり、「頭や体が固くなっている側面もある」(同)。未来に続く造船所に、との思いを込めてみんなで名付けた「みらい造船」。自分たちの代で社名を消すのは断腸の思いだが、組織を刷新して人材を引き寄せ、新たな伝統を築く時が来ている。
東北に震災から8度目の春がまた訪れた。それぞれの企業が、それぞれの想いを胸に出帆していく。
(2018/3/8 05:00)
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