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仙台・宮城・陸奥
2860
:
荷主研究者
:2017/06/11(日) 12:31:01
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201705/20170529_11056.html
2017年05月26日金曜日 河北新報
<宮城知事選>「オール東北」険しく
観光分野の連携が進む東北。宮城は新たな地方自治の在り方を示せるだろうか=仙台空港
宮城県が二極化の病に直面している。人口集中が加速する仙台圏と、流出に歯止めがかからない周辺部。福祉や医療、教育の格差は拡大する一方だ。地域経済は誘致企業に依存し、地場産業の衰退が進む。東北の中心にありながら、6県をつなぐ存在感は高まらない。村井嘉浩知事の3期目の任期終了まで半年。今秋の知事選を前に、約230万人が暮らす県土の現在地を見つめ直す。(宮城県政取材班)
◎みやぎ考(5)機運乏しい広域連携、高まらぬ存在感
<誘客巻き返し>
インバウンド(訪日外国人旅行者)の誘致で活況を呈する首都圏や西日本に比べ、出遅れが著しい東北。巻き返しへの危機感が、ようやく6県を動かした。
2016年8月、6県の知事と副知事が台湾・台北市を訪問した。6県トップが海外で東北観光を合同PRしたのは初めて。今年も7月、各知事が香港でプロモーションを展開する。
外国人の宿泊者数(16年)は全国7088万人に対し、東北は1%の71万人にとどまる。誘客はオール東北の努力が不可欠だ。
経済界からは16年7月に完全民営化した仙台空港を拠点に、東北各地に向かう観光ルートの強化が望まれている。「宮城県が上手にかじ取りを果たし、将来への連携を図ってほしい」。東北観光推進機構の紺野純一専務理事は期待を込める。
<協力は個別的>
東北各県は観光振興のほか災害支援、ドクターヘリ運航、自動車産業の集積など個別課題ごとの協力は進めている。一方で、本格的な広域連携に踏み出す動きは停滞したままだ。
県組織単位での救援、復旧復興策の限界を露呈した東日本大震災。東北6県と北海道、新潟県は12年2月、広域連携を探る検討会議を設け、一時的に機運は盛り上がった。
防災分野など8道県の事務の一部を担い、国出先機関の移管先となる「広域連合」を視野に入れたが意見集約できず、同年度内に終了した。広域連合の先に持論の道州制を見据えた村井嘉浩宮城県知事も震災対応に忙殺され、リーダーシップを発揮できなかった。
道州制へのアレルギーは5県にくすぶる(表)。「住民自治の観点から課題はある。善しあしを言える段階ではない」(岩手県)、「国の統治機構の根幹に関わる。広範な国民的議論が必要」(秋田県)と慎重論が幅を利かす。
<ダム論に距離>
地理的、経済的な中心にある宮城県が突出しかねない施策への警戒感は、なおさら根強い。
「東北全体が衰退してしまう。雇用を求めて関東に出る部分に対し、ダムの役割を果たして流出を防ぐ。そういう宮城県にする」
東北の人口が900万人を割った15年国勢調査の速報値を踏まえ、村井知事は16年1月中旬の定例記者会見で力強く語った。
「ダム論」は、地方の拠点都市に資源を集中投資して魅力や経済力を高め、東京圏への一極集中を防ぐ考え方。14年5月に有識者らによる日本創生会議が提唱して注目を集めたが、各県の受け止めは冷ややかだ。
「社会減と自然減の両面で問題の克服に取り組んでいる。各県で施策を着実に実行することが重要」(青森県)「新たな一極集中になりかねない。今は宮城にダム機能を求めない」(福島県)と距離を置く。
東大先端科学技術研究センターの牧原出教授(政治学)は「人口減が加速する東北は県境を越えた政策連携は欠かせない。宮城県は、復興後を見据えた新たな地方自治の在り方を発信してほしい」と指摘する。
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