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仙台・宮城・陸奥
2358
:
荷主研究者
:2015/11/28(土) 21:44:27
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151103_13018.html
2015年11月03日火曜日 河北新報
<楽都の行方>まちの復興 劇場が力に
多くの人がロビーを埋めた「オープンデイ」のチェンバロ・コンサート=10月24日、兵庫県西宮市の県立芸術文化センター
◎仙台音楽堂構想(下)阪神に学ぶ
阪神大震災で建設計画が中断し、後に復興のシンボルとなった音楽ホールが兵庫県西宮市にある。
ことし10周年を迎えた兵庫県立芸術文化センター。10月24日には「オープンデイ」と銘打って全館を無料で開放し、約2万人が詰めかけた。副館長の藤村順一さん(66)は「『われらが劇場』をつくろうと立ち上がり、その思いに共感する人々に支えられてきた」と振り返る。
<建設賛成7割強>
基本構想は震災前の1990年に策定された。設計が進むさなかに震災が起き、生活や経済の復旧復興が最優先された。
演奏家や地元の劇団員らは、コンサートや出張公演で被災者を励まし続けた。芸術の力が広く再認識され始めていた。
震災5年の県民意識調査。センター建設の「賛成派」が7割強を占めた。再び計画が動きだした。建設費を当初の480億円から200億円に圧縮して、完成にこぎ着けた。
芸術監督に世界的指揮者の佐渡裕さん、舞台技術や運営にも民間のプロを招き、設計段階から意見を反映させた。専属の管弦楽団は、オーディションで国内外から若手精鋭を集める。
県内全ての中学1年対象の芸術体験、ワンコイン演奏会、低価格で親しみやすいオペラ公演などを企画し、すそ野を広げてきた。
地元商店主らでつくる西北活性化協議会も一緒に盛り上げる。「音楽でまちを発展させようと皆で取り組んだ。震災で傷を負った地域を劇場がつないでくれた」。副会長の松山享さん(68)はこう話す。
<経済効果 年71億>
オペラ公演の際には、テーマごとに遊び心たっぷりの前夜祭を協議会が企画する。「ナポリが舞台なら面白いピザを募集しよう」「『魔笛』に合わせて笛を持って集まるか」。出演者らも飛び入り参加する。「オペラが地域全体の夏祭りになっている」。松山さんは誇らしげに語る。
今では全国有数の「チケットを売り切る劇場」と称されるようになった。
センターによると、開館後に最寄りの阪急西宮北口駅の乗降客が月3万人増えた。マンションが次々立ち並び、ショッピングモールもできた。センターの県内経済波及効果は年71億円との試算もある。
楽都・仙台でも東日本大震災で、新しい音楽ホールの建設へ向けた動きが止まった。地元経済界や音楽団体が本格的に要望活動などを始めたばかりだ。
津波被災地では、演奏家らが支援活動を続ける。「震災を経験したからこそ知ることができた文化芸術の力がある。劇場で育て、まちで大きくする。立ち上がっていく力を伝える使命がある」。センター副館長の藤村さんは、西宮と仙台を重ね合わせてエールを送る。
[メモ]兵庫県立芸術文化センターには、コンサートを中心にオペラやバレエも上演できる大ホール(2001席)、演劇や古典芸能に適した中ホール(800席)、リサイタルや室内楽を想定した小ホール(417席)がある。年間イベント数(2013年度)は825件に上り、施設稼働率は96%。全国公立文化施設の平均稼働率78.9%(同)を大幅に上回る。半数近くが主催公演で入場率9割。登録会員数6万人。公演入場者数はことし9月、500万人を突破した。
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