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仙台・宮城・陸奥
2230
:
荷主研究者
:2015/06/26(金) 22:45:43
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201505/20150529_15004.html
2015年05月29日金曜日 河北新報
<仙石線全線再開>人口回復 喫緊の課題/(4)定住/通勤・通学での活用が鍵
シェアハウスで共に暮らす友人と談笑する森さん(左)。仙石線の復旧で石巻への定住促進にも期待がかかる
<空き部屋を改修>
宮城県石巻市の中心商店街に一軒のシェアハウスがある。約30平方メートルの相部屋と、約10平方メートルの個室が二つ。関西などから集まった20〜50代の男女5人が暮らす。学生や会社員、作家など職業はさまざまだ。
神奈川県横須賀市出身の森優馬さん(33)は昨年11月、東京の会社を辞めて石巻に来た。「1次産業振興に携わりたかった」。いま、市の6次産業化・地産地消推進センターで働く。
森さんは「シェアハウスは賃料が安く、人脈を広げられる利点もある。2、3カ月でアパートに移るつもりだったが、居心地がよくて長居してしまった」と笑う。
運営するのは東日本大震災後に設立された同市のまちづくり団体「ISHINOMAKI(石巻)2.0」。店舗の空き部屋を改修し、昨年5月に開設した。
市内には震災後、ボランティアなどで多くの若者が訪れ、いまも活動する。松村豪太代表理事は「移住のハードルを下げることが狙いの一つ。試しにここに住んでみたいと思った時、受け皿となる場所が必要だった」と説明する。
JR仙石線の全線再開で、石巻への交通アクセスは飛躍的に向上する。「二つの居住地を構え、行き来する生活もある。遊休物件の掘り起こしや情報発信に努め、新しい石巻暮らしを提案していく」。松村さんはそんな構想を描く。
<追い風を生かせ>
市の人口は4月末で14万9292。2005年4月の17万1107をピークに毎年平均1600ずつ減少し、震災後の1年間では約1万減った。流出に歯止めがかからず、定住促進は喫緊の課題だ。
石巻専修大の石原慎士教授(地域産業論)は「外から人を呼び込む前に、今いる市民を流出させないことが重要」と指摘する。仙石線の活用が鍵になるとして「雇用の場が集中する仙台市に石巻から通ってもらう手だてを考えるべきだ」と言う。
通勤・通学の面では、仙石線全線再開と同時に開業する仙石東北ラインが注目される。仙台-石巻間を最短52分で結ぶ。
石原教授は具体策を提案する。「石巻市門脇に来年3月開業する新駅『石巻あゆみの駅』を核にパーク・アンド・ライドを整備したり、通勤費補助を導入したりしたらどうか」
市も定住人口増加に向け、職員による検討チームを発足させた。堀内賢市復興政策部長は「市内の特定業種に就職した若者向けの奨学金の返済支援制度創設や、ICT(情報通信技術)事業者が進出しやすいよう古民家をオフィスとして整備する仕組み導入などを検討している」と話す。
仙石線全線再開で石巻地方に吹く追い風をどう生かすのか。官民の知恵が試されている。(石巻総局・八木高寛、水野良将、高橋公彦)
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