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利水・治水スレ

99千葉9区:2009/06/09(火) 22:16:08
http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY200906090183.html
霞ケ浦導水事業、完成水路を13年放置 工費175億円(1/2ページ)
2009年6月9日19時1分

 茨城県の霞ケ浦と利根川、那珂川を2本の地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水事業で、利根川側の水路が完成後13年間、一度も使用されていないことが分かった。国土交通省は霞ケ浦の水質浄化や流域の渇水対策を目的としているが、同川の渇水時も稼働させていない。那珂川側では、流域の漁業協同組合がアユの生態系破壊などを理由に工事の差し止め訴訟を起こしており、事業の必要性が問われている。

 未使用の施設は、利根川と霞ケ浦で相互に水を送ることができる利根導水路(全長2.6キロ)。175億円をかけ96年3月に完成した。国交省が03年にまとめた内部資料などによると、年間3.1億トンの送水能力がある利根導水路を完成直後から先行利用した場合、霞ケ浦の湖水を6回入れ替える水量が確保できた、とされている。

 ところが、利根導水路は現在、共同事業者の水資源機構が一部を水道事業のために利用しているだけで、国交省の使用実績はゼロだ。利根川が渇水し、48日間の取水制限が出された04年夏も、霞ケ浦から送水しなかった。また、霞ケ浦の浄化目的で利根川の水を送ったこともないという。

 完成水路の放置について、国交省霞ケ浦導水工事事務所は朝日新聞の取材に「導水事業全体が完成しているわけではないので、施設を稼働させることは考えていない」と説明している。計画当初は93年度に全体が完成しているはずだったが、工期が3回にわたり延びたことも影響していると見られる。

 全体の導水工事が完成しても、霞ケ浦が浄化できるか疑問視する声もある。霞ケ浦が利根川河口と合流する地点には45年以上前から、国交省が設置した常陸川水門がある。水門は霞ケ浦の淡水化が目的で、海水の逆流を防ぐためにほとんど閉鎖されている。このため、茨城県内水面水産試験場の元場長、浜田篤信氏は「霞ケ浦に利根川や那珂川から水が送られても、湖水が循環して水質が浄化する環境にはほど遠い」と指摘する。さらに、異質の水が混じり合うことで、環境への影響が懸念されるという。

 那珂川と霞ケ浦を結ぶ那珂導水路は、地元漁協の反対により、那珂川に設置する取水口工事が手つかずになっている。那珂川は天然アユの漁獲高が全国一のため、流域8漁協は「アユなどに回復しがたい深刻な被害を与え、漁業権の侵害にあたる」として3月、工事の差し止めを求めて提訴。第1回口頭弁論は10日、水戸地裁で開かれる予定だ。

 公共事業と環境の価値について詳しい早稲田大政治経済学術院の栗山浩一教授は「完成した公共事業が長期間放置されている状況から見ると、税金の使われ方に問題がある。環境への影響を含め、完成した施設を評価する必要がある」と話している。(鈴木逸弘)

     ◇

 ■霞ケ浦導水事業

 国が84年、霞ケ浦の浄化や利根川、那珂川の渇水対策などを目的に着工。両河川を全長約45キロの地下トンネルで結び、必要な水をポンプで相互に行き来させる。用地取得の遅れによる度重なる計画変更で、完成見込み時期は当初の93年度から2015年度にずれ込んだ。総工事費1900億円のうち約75%が消化された。


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