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西洋史

106とはずがたり:2019/01/06(日) 19:11:34

2019.01.05
なぜイギリス人の「階級への執着」は産業革命後に生まれたのか
オーウェルは「上層中流階級の下の方」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59177
河野 真太郎 一橋大学准教授
1974年、山口県生まれ。専門は英文学、イギリスの文化と社会。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。著書に『〈田舎と都会〉の系譜学??二〇世紀イギリスと「文化」の地図』、『戦う姫、働く少女』。

ジョージ・オーウェルといえば、スターリニズムを風刺した『動物農場』(1945年)や、全体主義国家と化した近未来のイギリスを舞台とする『1984年』(1949年)で知られるイギリスの作家である。

一方、これらの作品から反全体主義のリベラルな(とは註:リベラルと思うか??左右のイデオロギーの中で反共のゴリゴリの右翼の作家だと思ってたw)作家だと思われがちなオーウェルが、戦前の1930年代には「階級」をテーマとするさまざまな作品を書いていることは、愛好家や専門家以外には意外と知られていないかもしれない。

ところで、そのオーウェル自身はどのような階級の出身だったのだろうか。…彼は自分の出身階級は「ロウワー・アッパー・ミドル(lower-upper-middle)」だと述べている。訳せば、「上層中流階級の下の方」ということになる。

いったいオーウェルがこのような細かい階級の説明で意味しているのはどのようなことなのだろうか。今回は、オーウェルのこのような階級意識が形成された背景となるイギリスの階級のあり方、その形成過程の歴史を概観したい。

二階級モデルと三階級モデル
歴史家のデイヴィッド・キャナダインは、『イギリスの階級社会』(平田雅博・吉田正広訳、日本経済評論社)で、イギリスにおける階級の認識を「二層モデル」と「三層モデル」に分けて論じている。

この二モデルは必ずしもキャナダインのオリジナルではない … 二層モデル、もしくは二階級モデルを代表するのはマルクスとエンゲルスの『共産主義宣言』(1848年)であろう。マルクスとエンゲルスはこの宣言の中で、ブルジョワとプロレタリアという二階級の存在を指摘し、歴史がこの二つの階級のあいだの闘争によって進んで行くという歴史観を提示した。

プロレタリアとは、マルクスが『資本論』で述べることになるように、自らの労働力という商品以外に売るものをもたない労働者階級のことであり、ブルジョワとは生産手段(工場や機械など)を所有し、プロレタリアの労働を(基本的には安く)買う中産階級である。

ここからより一般的な「社会のイメージ」が生まれる。単に貧しい者たちと富める者たちによって構成された社会のイメージだ。そこまで一般化すれば、あらゆる資本主義社会、さらには資本主義以外の社会にも適用できるイメージとなるだろうし、イギリスの歴史上のほとんどの社会にも適用できるだろう。

だが指摘しておきたいのは、イギリスの労働者階級の自己意識の源となってきたとされる「われわれとやつら(us and them)」という、敵対関係で自分たちの階級を定義する感情は、このような社会のイメージから生じたということである。

翻訳の出たオーウェン・ジョーンズ(前回紹介した『チャヴ』の著者)の『エスタブリッシュメント』(佐田卓巳訳、海と月社)のタイトルが、ある意味翻訳を放棄してカタカナのままにされたのは理由なきことではない。イギリスで「エスタブリッシュメント」という時には、この「われわれとやつら」の「やつら」(上流階級、支配層、金持ち)に対する敵対心が込められているのだ。

三階級モデルと中流階級の時代
そのような二階級モデルに対する三階級モデルとは、二階級モデルの否定というよりはその細分化と捉えた方がいいだろう。その際に細分化されるのは、二階級モデルのうちの、ブルジョワ階級の方である。

三階級モデルとは、上流階級(貴族階級)、中流階級(中産階級)、下層階級(労働者階級)という三階級のモデルである。だが重要なのは、中流階級がさらに細分化され、アッパー・ミドル(上層中流階級)とロウワー・ミドル(下層中流階級)に、さらにはその間にミドル・ミドル(中層中流階級)を設定するような階級の区分が増殖していくことである。


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