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人口問題・少子化・家族の経済学

1750とはずがたり:2017/09/27(水) 19:34:47
>>1749
なぜ高所得者に恩恵の大きい幼児教育の無償化なのか?
また、これは民進党も含めてであるが、なぜ使途変更先が幼児教育の無償化なのか、である。

「幼児教育の投資効果は高い」、というのは一般的によく言われる。しかし、この根拠になっている「ペリー就学前プログラム」は、50年前の米国で行われた実験であり、現在もだが、米国の養育環境は悪く、教育機会に恵まれない就学前の子供に質の高い教育を施した時の収益率が高かった、というものである。

だが、日本は4歳で幼児教育施設(保育所と幼稚園)に通っている比率は95%(OECD2014)と、米国の68%(同2014)を大きく上回り、それほど高い効果は期待できない。

さらに、生活保護世帯や非課税世帯の低所得世帯は既に無料もしくは低額(年額36,000円)であり、大きな恩恵を受けるのは高所得世帯である。

つまり、逆分配政策となる。現在は、幼児教育向けの私的サービスも充実してきており、幼児教育無償化の大きな恩恵を受ける高所得世帯はその分を私的サービスの充実に使い、格差拡大を招く恐れもある。

消費増税分の使途を借金返済から教育予算に変更するだけで選挙するほど、プライマリーバランスを重視しているにも関わらず、逆分配政策をしている余裕はどこにあるのだろうか。

一方、現在不足しているのは3歳以下の保育サービスであり、待機児童が代表するように、重要なのは保育施設の増設、質の向上、保育士の待遇改善である。

まだ具体的な使途が示されておらず、その優先順位もわからないが、需要が急増する可能性の高い保育の無償化よりも先に供給側の整備を急ぐべきである。

大学の授業料無償化も同様である。いずれ無償化の方向に進むべきだとは思うが、まずは供給側の整備、大学の教育・研究環境の向上、具体的には教員・事務職員の数増加による授業の質向上、若手研究者の待遇改善、学術的教育と職業訓練をセットにしたデュアルシステムの拡充などである。

さらに、専門教育を受けた専門家を十分に活用できるように、労働者ごとに労働条件・内容等を決めるジョブ型正社員の普及を一刻も早く進めるべきであろう。大学院卒の少なさや博士課程を持つ人材の低待遇が象徴するように、現状の日本型雇用では専門家を活用できず、有能な人材の海外流出を止めることはできない。

本当に少子化対策が本丸なのであれば、3歳以下の保育環境の整備に加え、出産の検診費用の完全無償化など、より直接的な手当ての方が効果が高いと思うが、どこまで精細に検討したのだろうか。

逆進性の高い消費増税
そして、今回与党(自民・公明)と民進党は消費増税を前提にしているが、子供のいない(結婚できない)低所得者層への負担軽減をどれだけ考えているのだろうか。

2014年4月の8%への増税による経済全体への悪影響は改めて確認するまでもないが、消費増税は、低所得者の負担が大きく、逆進性の高いものである。

消費増税実施前にみずほ総合研究所がまとめた結果によると、年収400万円以下の負担率は1,000万円以上の2倍以上になる。

10月頃に発表される2017年版の厚生労働白書では「低所得の割合が、世帯主が40歳代の世帯では増え、高齢者世帯では減っている」という調査結果が出ているそうだが、現在40歳代の就職氷河期世代はまさに現役世代への投資が先送りされてきた最大の被害者であり、このままでは低年金で生活保護を受けざるを得なくなる可能性は高い。

「低所得者」というと、年金生活者支援給付金をはじめ高齢者にばかり目が向きがちであるが、税金や社会保険料負担の大きい現役世代の低所得者のことはどこまで考えているのだろうか。

近々各党の公約が発表され、政策論議が行われると思うが、「教育への公的支出拡大」、「借金返済より社会保障の拡充」といったスローガンだけではなく、より具体的に、消費増税の使途変更により各世帯の生活水準がどのくらい向上するのか、経済格差は是正されるのか、など数値を用いた議論が行われることを期待したい。


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