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マスコミ

980とはずがたり:2011/09/14(水) 06:32:10
>>978-980
記事は、東京特派員時代の旧友が4月になって久しぶりに連絡してきた、という述懐で始まります。東京在住のこの女性が、いかに不安と恐怖と政府への怒りを抱えながら日々を過ごしているかという内容です。そしてこの旧友に「日本に戻ってこのことを伝えて」と懇願されたのを機に、福島の原発周辺地区や岩手の沿岸部を歩き、東京で避難生活する人たちの話を聞いたと。「記事を書くにあたって、これほど責任感を感じることはめったにない」と記者は書きます。なぜなら話をした日本の人たちは「報道してほしいだけでなく、気になってならない大問題について、外部の人間の判断を求めている様子だったから。大問題とはつまり、日本は今でも安全な国なのかという問題だ」。

まさに、本当に、歴史的に、私たち日本人は自分たちの国の状態について外国の意見や判断を求めてやまない国民です。震災前から。だからこそ私のこんなコラムも成り立つわけです。その発端が明治維新と不平等条約なのかは分かりませんし、その欲求に軽々しく名前をつけることは避けますが、いずれにしても震災後はその欲求がピークに達していたのは事実です。震災から半年たった今でも。

ワッツ記者はこう書きます。「道路の瓦礫は撤去され、再建工事は始まり、避難者は避難所を出つつある。しかし何百万人もの人が、3月までは異常とされていたレベルの放射線と取り組まなくてはならない状態だ。これは一時の奇妙な出来事ではなく、『普通』という言葉の意味を変えてしまう日常でおきていることなのだ」と。つまり、震災後の日本では「異常=普通」になってしまったのだと。

しかも長期にわたる低レベル放射能がDNAにどういう影響をもたらすか、明らかになるには何年も何十年もかかる。ほとんどの人は何の影響も受けないが、一部の人はガンを発症するだけに、「誰が、いつ影響を受けるか分からないというのは、非常に不安で落ち着かないものだ」と記事は書きます。チェルノブイリ事故後の状態について「ロシアの医師たちは生存者たちが『情報に毒された』と語ったが、日本ではむしろ、人々は不安に汚染されていると言うほうが正確だろう」とも。

記事いわく、安全と衛生と生食で知られる日本において日本人は今や、小さいけれども長期にわたる健康リスクを継続的に受け入れるよう求められている。しかも政府は不安定で、学問の世界もマスコミも強力な原発産業に汚染されていると見なされている日本では今、「trust deficit(信頼の赤字)」がはびこっていると。そして、「ただでさえ全体に倣うことを良しとする国として悪名高い(a notoriously conformist nation)日本にあって、日本人はいきなり、何に倣うべきかわからなくなっている」とも。何が危険で何が安全か、個人が自分で判断するよう求められている。そしてそれゆえに、(地震そのものによるPTSDとは異なる)じわじわと押し寄せる目に見えない不安感にさいなまれ、自殺念慮が高まったり、アルコールに依存するようになったり、落ちつきを失ったりする恐れがあると。

記事は、南相馬市から東京へ避難してきて、こうした症状に苦しんでいる、妊娠中の29歳女性を紹介しています。彼女は、11月出産予定のお腹の赤ちゃんをエコーで見るたびに、手足の指を何度も何度も数えるのだと。


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