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マスコミ

1773とはずがたり:2023/07/04(火) 11:05:45
>>1772
では新聞でボツになった原稿は他メディアに載せられるのだろうか。

私は20年ほど前、「民俗と憲法」というテーマで10人ほどに取材し、連載原稿をデスクに提出したが、「古い話ばかりでニュースがない」とボツにされた。今から思えば原稿が稚拙だった面もあるのだが、当時は怒り心頭に発した。

尊敬している他社の記者に「あきらめるしかないのでしょうか?」と相談した。

「君は会社員なのかジャーナリストなのか、どっちや?」

「できれば、ジャーナリストでありたいです」

「取材して書くのは会社のためではない。取材対象や現場の人の思いを伝えるためやろ? 取材したことを書くのは彼らに対する君の責任や」

正論に力づけられて、ミニコミ誌に掲載してもらった。たいした反響がなかったせいか、おとがめはなかった。

「ガーシー本」出版問題に見るジャーナリズムの危機

ボツ原稿を出版して最近話題になったのが、朝日新聞ドバイ支局長だった伊藤喜之さんだ。

伊藤さんは2022年、前参議院議員でドバイに滞在していた「ガーシー」こと東谷義和容疑者を取材して原稿をデスクに提出したが、「東谷氏の一方的な言い分はのせられない」と掲載を拒否された。

伊藤さんは退職して今年3月、『悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味』を講談社から出版した。

それに対して、朝日新聞は、伊藤さんと講談社への抗議文を公式サイトで公開した。

「退職者が在職時に職務として執筆した記事などの著作物は、就業規則により、新聞などに掲載されたか未掲載かを問わず、本社に著作権が帰属する職務著作物となり、無断利用は認めていません。(中略)就業規則により、本社従業員は業務上知り得た秘密を、在職中はもとより、退職後といえども正当な理由なく他に漏らしてはならないと定められています」と主張した。

ガーシーという元政治家の考え方を伝えるのは公益性がある。それを朝日新聞がボツにしたのだから、ほかの媒体で報道するのは「正当な理由」であり、大切な問題を報道するのはジャーナリストの責任でもあるはずだ。

朝日新聞では最近、管理職が気に入らない社員に対して「業務外でも執筆・講演は認めない」と制限する例が出てきている。朝日新聞の官僚たちは「ジャーナリズム」や憲法21条(表現の自由)のたてまえをもかなぐり捨てようとしているようだ。

青木美希記者には社内の処分をおそれず、『なぜ日本は原発をやめられないのか』を出版してほしい。

同様にほかの多くの記者が、事なかれ主義の幹部を気にせず自由な記事を書き、ボツにされたら外部で発表し、処分されつづけることで、ジャーナリズムの危機を可視化してほしいと思う。

「言論の自由」を保障する日本国憲法に甘えてはいけない。「自由な言論」を実践しつづける努力こそが言論の自由を守るのだと肝に銘じたい。

文/藤井 満
企画/一ノ瀬 伸

藤井満
ふじい みつる
ジャーナリスト
1966年、東京都葛飾区生まれ。京都大学卒業後、1990年に朝日新聞社に入社。静岡、愛媛、京都、大阪、島根、石川、和歌山、富山に勤務し、2020年に退社。著書に『僕のコーチはがんの妻』(KADOKAWA)、『北陸の海辺自転車紀行』(あっぷる出版社)、『能登の里人ものがたり』(アットワークス)などがある。


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