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近現代史綜合スレ

635とはずがたり:2015/09/07(月) 03:04:04
>>634-635
大統領制の政治は日本の未来の予兆か

それはひょっとすると、日韓の未来にも当てはまるのかもしれない。浅羽祐樹『したたかな韓国?朴槿恵時代の戦略を探る』が描く大統領選挙のダイナミクスには、ふとそんな思いを感じてしまう。

今日の韓国では与野党とも、党公認候補を決定するための予備選挙で、党員以外からの投票も受けつけるほか、世論調査での支持率まで票数に換算して組み込んでいるという。後者は世界に類例がないというが、まさしく現代版の「一君万民」であろう。

しかも本番の大統領選挙は全国を一選挙区とするシンプルな勝負で、相対的に一票でも多い方の勝ちだ。さらに直接議会に法案を出せるなど、当選後の権限も強い。

米国に比べても、民意を大統領一人に集約する度合いが高いわけだが、首相公選制や国民投票といった「直接民意を代表させる」体験への期待が高まる日本人が望む政治のあり方と、それは実のところ近似していないだろうか。

民主政下の「一君万民」はポピュリズムに堕すのか


木村幹『韓国現代史?大統領たちの栄光と蹉跌』(2008年、中公新書)
事実、木村幹『韓国現代史?大統領たちの栄光と蹉跌』は、前代の李明博(イミョンバク)氏が就任するまでの各大統領の人生から描く戦後史だが、民主化以降の描写は近年の日本と対照しても示唆が深い。

根深い地域ごとの党派対立を克服し、インターネットを駆使して特定の派閥によらない国民統合を模索したのは、前々代の盧武鉉(ノムヒョン)大統領。

自身の支持者で固めた新党で臨み、守旧派議員を放逐して圧勝した2004年の国会議員選挙は、小泉純一郎首相の郵政解散に一年以上先行する。

もっとも、その後の盧武鉉政権の急速な失墜を、木村氏は「改革」すれば必ず社会の進歩につながるという国民の期待と、政治の力で起こせる変化はすでに尽きていた同国の現実との、落差に求める。

そもそも一君万民とはポピュリズムの異名でもあり、大院君も民衆へのバラマキのツケとして悪貨鋳造によるインフレを招いたとは、趙氏の著書にも見える。過度な改革幻想や成長神話に基づく、民衆側の統治者への無批判な一体化を戒める上で、わが国にとっても益するところの多い挿話だろう。

むろん、史実の解釈は多様であっていい。しかしいたずらに自国の栄光を誇り、他国の失敗をあげつらう関係は虚しいだけだ。

これまでも、これからも多くの課題を共有する両国であればこそ、互いに相手の経験を鏡とするような、成熟した歴史の語りを持ちたいものである。

【初出:2013.6.8「週刊東洋経済(マンション時限爆弾)」】


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