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化学・薬品産業総合スレッド
1088
:
荷主研究者
:2013/01/03(木) 09:16:25
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/11/29-9179.html
2012年11月29日 化学工業日報
【連載(下)】ナフサ連動価格の終焉ー石化産業もう1つの危機
[シェール革命でベンゼン復活]
「軽質化」時代への対応を
※いち早く国際化※
米国のシェールガス革命による「石油化学の軽質化」を背景に、国際市況が一気に高騰しているベンゼン。日本の大手石油精製メーカーは「ベンゼンの輸出が石油化学部門の収益を下支えすると期待している」と表情を緩める。エチレン、プロピレンのナフサ連動価格が生き残る一方で、いち早く価格が国際化したのがベンゼン。ここにきて、そうした製品の事業環境がむしろ好転している。
芳香族製品のうち、ベンゼンはバイプロダクト(副産物)という宿命から歴史的にみて事業採算の厳しい時期が長かった。ベンゼンの供給ソースには大きく2つある。1つはエチレン設備で、もう1つは石油精製の2次精製工程である改質装置(リフォーマー)。
このうち、エチレン設備の主産物はエチレン、プロピレンなどのオレフィン。また、リフォーマーの主産物はガソリン基材のトルエンやポリエステル原料のパラキシレンだ。ガソリン基材としてのベンゼン使用規制が起きた驟年代以降、副産物としての性格がより強まった。
かつてベンゼンの営業を担当していた精製系企業のOBは「どうせ余りものなのだからタダで持ってこいとドヤされたこともある」と苦しかった時代を振り返る。しかし、シェールガス革命と価格の国際化がベンゼンを復活させている。
※エタン転換進む※
米国のエチレン設備はナフサと天然ガス(エタン)の両方を原料に使用できる、いわゆるスイングプラントが多い。シェールガス生産の本格化とともに、エチレン原料はナフサからエタンへの転換が一段と進み、副産物ベンゼンの供給が大きく減少しているのだ。米国のベンゼンスポット価格は今年10月に過去最高を更新し、なお騰勢を強めている。
ベンゼンと裏返しのケースがブタジエンだ。合成ゴムの原料であるブタジエンも石化の軽質化で需給バランスがひっ迫化。とくに昨年はアジア市況が一時1トン当たり4000ドルを突破し、韓国などアジアの石化企業はエチレンセンターの収益を大きく伸ばした。しかし、ナフサ連動方式の日本国内ではその恩恵を享受できなかった。
現在、エチレンセンターはエチレン、プロピレン、ブタジエンの3製品のマージン(3品マージン)で収益を支える構造だ。いずれもナフサ連動価格を基本としているが、ここにきてブタジエンは需要家との間でアジア市況を織り込んだ価格体系に切り替える交渉が進んでいる。
※新規技術で増産※
一方、エチレンはシェールガス革命などの石化の軽質化により長期的にも市況が低迷すると予想されている。天然ガスを由来としたエチレン系製品の輸入が増大すれば、国内価格をナフサと連動させる考え方そのものが成り立たなくなる可能性がある。
価格の国際化が避けられない情勢をにらみ、石化メーカーはエチレン設備を削減する一方、ブタジエンを増産できる新しい生産技術の商業化を目指すなど、石化の軽質化時代に生き残る道を模索し始めている。
世界の石化の需給構造に歴史的な転換点が訪れるなかで、原料の9割以上をナフサに頼る日本の石化産業。ブタジエンやベンゼンなどを目的生産物に転換する構造改善に成功すれば、鎖国状態を解いて価格の国際化時代に生き残れるかもしれない。
【写真説明】シェールガス革命は石化産業の構造転換を促す。ナフサから得られる芳香族製品の供給にも影響している(写真はベンゼンプラント)
(了)
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