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自公保観察スレ
833
:
とはずがたり
:2004/10/24(日) 05:39
近聞遠見:武部新幹事長が気になる 岩見隆夫
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041023k0000m070158000c.html
約15年前、当コラムの第1回(89・9・5付)は、
<小沢新幹事長が気になる>
である。海部政権のもと、47歳の若い腕力派、小沢一郎の登場が危なっかしく映っていた。
それから政権が8回代わり、自民党幹事長も出入りが激しいが、今回、意表をついて武部勤が就いた。サプライズ度において、小沢をしのぐ。気になる点では同じだ。
幹事長は総裁に次ぐナンバー2のポスト、それにふさわしい実力者が座るのが通例だった。座れば、次はトップを狙う場合が多い。
武部はいずれにも該当しない。過去、内田常雄、斎藤邦吉、桜内義雄、綿貫民輔ら似た例があるにはあったが、微妙な派閥力学のなかでのことだ。桜内、綿貫はのちに衆院議長の栄職に就いている。
武部は派閥がらみでもない。では、なぜ小泉純一郎首相は起用したのか。ヒントらしい出来事が二つある。
まず、02年春のBSE(牛海綿状脳症)騒動だ。武部農相の不手際から更迭論が噴き出し、4月早々、新聞は、
<きょうにも辞任>
の大見出しで報じたが、結局は辞めない。その裏で次のようなことが起きていた、という関係者の証言がある−−。
福田康夫官房長官は内外の険しい空気から、ひそかに更迭方針を決め、武部が所属する山崎派の山崎拓幹事長に告げた。山崎が小泉の意向を聞くと、
「やむをえんだろうな」
という返事だった。山崎は武部に伝える。自主的辞任のすすめで、通常はそれが最後通告だ。ところが、武部は猛反発する。
「これだけ全力投球しているのに承服できん。辞任しろというなら、バッジもはずす」
と息巻いた。議員辞職の強硬策を聞いて、小泉は、
「ほう……」
と感心した。更迭は見送り、首がつながる。血の気の多いケンカ師が小泉好みなのだ。
二つ目。昨秋の衆院選前、武部は政権公約(マニフェスト)委員会の事務局長として、郵政民営化の策をまとめた。このときも、小泉と何度か議論しているが、武部は、
「もともと前島密(ひそか)のときから、郵便は民営だった。官から民へ、ではじめて『民営化』するような言い方はおかしい。元に戻すことじゃないのか」
と主張している。小泉が気に入りそうな論法だ。幕臣だった前島(1835〜1919)は近代的郵便制度の創設者で、維新後は駅逓(郵便の旧称)頭になり、<郵便><切手>などの名称も定めた。
前島に次ぐ改革者として小泉を位置付ける。<郵政>という関門に向かって、小泉と武部は主従の契りを結んだ趣だ。
ケンカっ早い一方で、武部の忠臣タイプはよく知られている。かつて、剛腕、梶山静六の国対委員長時代、社会党担当の副委員長として懸命に仕え、<梶山学校の優等生>と言われた。最近では、衆院議院運営委員長の仕事ぶりを、河野洋平衆院議長は、
「すき間なく、完璧(かんぺき)に助けてくれた」
とほめた。
だが、党内は突っ走りがちの武部のしくじりを待っている。BSE事件でみせた失言癖は変わるはずがない、と。しかし、派閥にも往年の気迫はなく、武部は走り抜けるかもしれない。
なにしろ、日本一広い最北辺の北海道12区(北見、網走、稚内、紋別各市)を道議のころから30年余駆けめぐってきた。<羆(ひぐま)>をほうふつさせる戦闘性がみものでもあり、気がかりでもある。
愛読書「三国志」、63歳、AB型。(敬称略)
毎日新聞 2004年10月23日 0時43分
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