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Tohazugatali Economic Review

1463とはずがたり:2013/11/02(土) 17:10:31

【第3回】 2013年5月9日 著者・コラム紹介バックナンバー
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
古い産業を保護して成長はありえない
――成長戦略を評価する視点
http://diamond.jp/articles/-/35635

政府は、経済政策の「3本の矢」の最後である成長戦略を6月中旬に閣議決定する予定だ。以下では、「成長戦略で何が必要か?どのように評価するか?」という問題を考えよう。

成長戦略こそが本命

安倍晋三内閣の経済政策の第1本目の矢である金融政策には、本連載の第2回で述べた問題がある。第2の矢である財政拡大は、続けて行なえば金利高騰の問題を引き起こす。だから、第3の矢である成長戦略こそが重要だ。

もともと、金融政策と財政政策は一時的なものと位置付けられている。経済再生を実現し、持続的な経済成長を実現するには、成長戦略が本来の政策だ。安倍内閣の経済政策が本当に内容のあるものか、それとも見かけ倒しのこけおどしのものかという判断は、成長戦略によってなされることになる。

成長戦略は、歴代の政権が作成してきた。民主党政権だけに限っても、「新成長戦略」(2010年6月)、「日本再生の基本戦略」(2011年12月)、「日本再生戦略」(2012年7月)が作成された。

安倍内閣の成長戦略について、甘利明経済財政・再生相は、「少子高齢化、公共インフラの老朽化、エネルギー・環境制約など世界に先駆けた課題に取り組み、成果を企業が海外に展開して収益を得る」ことが目的であると述べている。

現時点で報道されているところによれば、成長戦略の主要な内容は、医療などの新産業を育成し、女性が力を発揮できる環境を整備し、また、都市圏を中心に規制緩和や税制優遇を行なう「国家戦略特区」を設定することなどだ。具体的には、つぎのとおりだ。

(1)日本版NIH
医療分野の開発の司令塔となる「日本版NIH」の創設(NIH:National Institutes of Healthとは、アメリカ連邦政府の保健社会福祉省公衆衛生局の下にある医学研究の拠点機関)。これまで日本の医学関係の研究体制は、基礎研究は文部科学省、臨床研究は厚生労働省、そして産業育成は経済産業省と、バラバラであった。それを、内閣官房に設けるNIHに一本化し、基礎研究で先行したiPS細胞の実用化を急ぐ。

(2)女性の活躍
全上場企業が役員に1人以上の女性を登用するよう求める。女性の雇用を促すため、保育の受け皿を確保し、待機児童ゼロを目指す。育児休業を3歳まで取得できるよう、企業に助成金を支給する。

(3)国家戦略特区
東京都など三大都市圏を「世界で最もビジネスのしやすい街」に仕立て上げ、海外企業の誘致を狙う。

(4)規制緩和
一般医薬品のうち副作用のリスクが高い薬剤も、インターネット販売を認める。また、企業が自由に農地を買える「所有の自由化」も議論されている。

政府がなすべきは、規制緩和と教育

まず最初に、「成長戦略において政府が果たすべき役割は何か?」をはっきりさせる必要がある。

●多くの人は、「今後成長が期待される分野を政府がピックアップし、それに補助を与えて育成することが成長戦略だ」と考えている。実際、民間企業の経営者が「成長戦略が必要」という場合、それは、「政府の補助が必要」というのと、ほぼ同義である。また、各省庁にとっては、「成長戦略」とは、予算獲得のための手段だ。

今回の成長戦略も、多分にこうした傾向を持っている。

しかし、こうした方向の成長戦略には、大きな問題がある。なぜなら、どの分野が本当に成長できるかは、事後的にしか分からない場合が多いからだ。

例えば、1990年代にアメリカでIT産業が成長し、これがアメリカ経済の形を大きく変えた。しかし、IT産業は、政府の戦略と保護によって成長したのではない。市場の競争過程を通じて生き残った企業が、結果的に新しい産業を作ったのだ。

●実際、1980年代の末に、アップルはシリコンバレーのベンチャー企業としてすでに存在していたが、80年代末に刊行された『メイド・イン・アメリカ』(アメリカMIT産業生産性調査委員会のレポート)は、「フェアチャイルドやモトローラなどの企業から優秀なエンジニアを引き抜いてしまうので、アメリカ製造業を弱体化させる」と批判していた。二十数年後にアップルが時価総額世界一の企業になるとは、その当時は誰も想像できなかったのだ。

また、ターゲットの補助(特定の企業や産業に限定される補助)ならだめ。そうしたことを行なえば、エルピーダメモリのようなことが繰り返されるだろう。

経済成長は、基本的には民間企業と市場によって実現される。政府の役割は、そのプロセスが邪魔されないように環境を整えることだ。具体的には、規制緩和であり、エコカー補助や雇用調整助成金など従来型保護政策からの脱却だ。


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