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Tohazugatali Economic Review

1210とはずがたり:2006/12/13(水) 13:12:33
Vickrey, William
'Counterspeculation, Auctions, and Competitive Sealed Tenders', Journal of Finance, 16 (1), pp. 8-37, 1961.
http://www.jkokuryo.com/literature/bs/review/vickrey.htm

オークション理論の嚆矢となった本論文は、後述する4つのタイプのオークションすべてで売手の期待価格が同一になることを証明し、収入同値定理を確立した。また、オークションで取引された物件は、それに対して最も高い価値を付けたプレイヤーの手に渡るので、オークションの結果はすべてパレート最適である。非対称情報の市場での価格決定のメカニズムの例としてオークションを取り上げ、その仕組みを経済学の枠組みに取り込み分析をおこなったVickreyの功績は非常に大きい。

以下に、若干の解説を付記しておく。オークションにおける4つのタイプとは、英国型(価格公表のセリ上げで最高値を付けたものが勝者、勝者は自分の付け値を支払う)、オランダ型(価格公表のセリ下げで最初に付け値を出したものが勝者、勝者は自分の付け値を支払う)、第一価格入札型(価格非公表の入札で最高の付け値をつけたものが勝者、勝者は自分の付け値を支払う)、第二価格入札型(価格非公表の入札で最高の付け値をつけたものが勝者、勝者は二番目に高い付け値を支払う)である。

4つの中で英国型が最も単純なケースである。英国型では、物件に対して第二番目に高い評価をしたプレイヤーが彼が出しうる最高の付け値を出した時点でオークションは事実上終了する。なぜなら、残った第一番目の評価者がそれ以上のセリ上げをする意思を表明した時点でもう競争相手は残っておらず、セリ上げ単位が微小すなわち事実上ゼロに等しい場合には、彼の支払い価格は第二番目の評価価格となるからである。

第二価格入札型も同様のメカニズムである。第二価格型では、非公開の入札において第一番目に高い付け値をしたプレイヤーが勝ち、二番目に高い付け値を支払う。そのため期待値は英国型と同じになる。このタイプのオークションが優れているのは、入札者は落札の確率を高めることだけに専念できることにある。オークションでの利得は、自分の物件評価額から実際の支払額を引いたものである。一方、落札できなければ、利得はゼロである。第二価格型では、自分自身の付け値は直接的には支払額に関係しないので、合理的なプレイヤーは自分の物件評価額を正直に提出し、落札の期待確率を最も高くすることを選ぶ。利得は、自分の評価が第一位でなかった場合にはゼロであり、第一位であった場合には第二位の評価者の付け値との差に依存することになる。

オランダ型と第一価格入札型は上記よりも複雑な過程が必要である。この二つのタイプのオークションでは、プレイヤーは第2番目に高い評価額がいくらになるのかを推測しなければならない。そして、その推測値が平均的には正しいとするならば、この場合の期待値も第二番目の評価額と同一になる。ただし、英国型や第二価格型と異なり、他のプレイヤーの評価の推測精度によって自分自身の利得が変化するため、入札者は落札の確率を高めることだけには専念できなくなり、状況は複雑になるのである。


以上

(文責:森田正隆、1999年10月26日)


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