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とはずがたり日本語総研

937とはずがたり:2021/04/05(月) 13:38:36

 ところが、そのような内容の「英語活動」を週に1回行うくらいでは目に見える成果は出ない。こんな遊びでは効果がない、という批判が出てくるのは時間の問題であった。その批判に応え、新学習指導要領では、「英語活動」を3・4年生におろし、5・6年生は「教科」としての英語を学習することになった。教科であるから、検定教科書を作成し、簡単な文法も教え、成績評価もすることになる。

 小学生に対して教科としての本格的な英語を教える先生をどう養成するのか、という教員養成の問題にじっくり取り組む時間などないようで、英語ができると思われる人たちに特別に免許を出す、小学校の免許は取得しているものの英語の免許がない小学校教員が大学の教職課程で短期の研修を受ければ英語免許を取得したとみなす、などの措置で見切り発車することになる。

民間英語試験の導入
 中学・高校の英語教育改革がうまくいかないのは大学入試があるからだ、という意見も根強い。大学入試で瑣末な文法を出題したり、難しい読解問題など出すから、中学・高校では会話をやらずに文法を教え続けているという、正確な現状認識に欠ける批判である。

 昨今の大学入試は、昔とは違い、文法の出題は減り、読解問題ならTOEFLの方がよほど難易度が高い。そもそも最近の大学では受験生確保のために推薦入試やAO入試など筆記試験が不要な入試形態が増えている、センター入試の英語試験はコミュニケーション志向に大幅に変わっている、というような現状は脇へ置いてしまい、英語教育改革の一環として大学入試も変える、という政策が登場した。英語については、「読む・書く・聞く・話す」という「4技能」が重要であり学習指導要領もそのようになっているのだから、大学入試は英語の4技能を測定するべきだとなった。しかし各大学が独自に多数の受験生に対して面接などを実施して「話す力」を測定するのは物理的に無理なので、民間業者による試験を活用する案が浮上した。

 大学入試センター試験(センター入試)に代え、2020年度から新テスト「大学入学共通テスト」を始めるという大学入試改革の中で、英語については、2020年度から民間試験に切り替えるA案と、2023年度までは、共通テストと民間試験が並存するB案が提示された。

 「民間試験」とは、例えば英検(日本英語検定協会)、GTEC(ベネッセ)、TOEFL(ETS=Educational Testing Service)、TOEIC(国際ビジネスコミュニケーション協会)、TEAP(日本英語検定協会)などで、そのどれを選んでも良いし、2回受験して良い、となっている。良いことづくめの印象を与えるが、実際には、検定料は自己負担、試験内容や受験会場、実施回数などは業者によってバラバラである。加えて、大学入試に必要となれば、高校現場は合格率を高めるために民間試験対策に追われる。高校側は、各大学はどの民間試験を選ぶのだろうと気にし、大学側は高校生が多く受験するのはどの試験だろうと様子見である。その隙間を民間業者が駆け回り、売り込み合戦が既に始まっている。

 全国高等学校長協会は2017年6月8日、「英語の民間試験だけでなく、2024年度以降も共通テストでの英語を継続して実施してほしい」とする意見書を文科省に出した。

 国立大学協会(国大協)は2017年6月14日付の意見書を文科省に提出した。民間試験の導入には「不確定な要素が多く、共通テストでの英語の廃止を判断するのは拙速」であるとし、「新テストに使える民間試験の認定基準の作成」「学習指導要領との整合性」「受験機会の公平性の確保」といった課題への対応策を求めた。

 パブリック・コメントの結果もふまえ、文科省は、民間の認定試験を活用するとともに、2023年度までは共通テストの英語試験も継続することを決めた。


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