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選挙制度

1520名無しさん:2020/11/23(月) 16:56:53
>>1519

1倍に近づけるための具体的な合区案
 もし合区によって限りなく1倍(格差なし)に近づけたらどうなるか。14年の参議院選挙制度協議会で脇雅史座長(議長のようなもの)が示した「座長案」が興味深い。格差を1.83倍に収めるために「12増12減」し、以下を合区対象とします。

「岩手・秋田」「宮城・山形」「新潟・富山」「山梨・長野」「石川・福井」「大阪・和歌山」「鳥取・島根」「香川・愛媛」「徳島・高知」「福岡・佐賀」「宮崎・鹿児島」(22府県)

 代わりに東京、神奈川、愛知、埼玉、兵庫、北海道の定数を増やすという内容でした。自民党参院幹事長でもあった脇氏の案なのに同党から猛烈な反対論が噴出。22府県のうち改選1の選挙区は17県(34人)で自民党議員の占める割合が当時で29人だったから。合区となれば、党内で「どちらが代表になるか」の争いが必然な上に議席もほぼ半減では「やってられない」というわけです。

 そもそも現在の2合区さえ該当4県は不満の塊です。歴史的経緯から考えても「山梨・長野」「福岡・佐賀」「宮崎・鹿児島」などとてもまとまりそうもありません。

 そればかりか自民党は18年「憲法改正4項目」の1つに「合区解消」を挙げています。「改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべき」という内容。これには野党はもとより連立与党の公明党にすら支持が広がっていません。

どの選挙区で選ばれても全国民の代表
 合区を嫌う大きな声は「地方の声が届かなくなる」「合区の片方から候補者が出たら他方の県民の関心が下がる」など。しかし国会議員とはそもそもいかなる選挙区から選ばれたにしても「全国民を代表する」(憲法43条)立場のはずです。地域の一体性保持や地勢を理由とした反対論も代表は面積や木の数などを参考にして選ぶわけではないのは明らかで説得力に欠けます。

 もし「合区解消」の改憲論争で結果的に合区拡大が遅れたら15年の「抜本的見直し」の約束が遠のいていき次回までに間に合いますまい。今度は最高裁も甘い顔はしない公算大です。

一度も出ていない「選挙無効」判決
 最高裁が「違憲」判決を出した時でさえ選挙無効(原告の主張)までは一度も踏み込んでいません。混乱を避けるべきとの考え方に基づく「事情判決の法理」が根底にあるのです。

 「事情」とは行政処分が違法で取り消されるべき時に考慮されます。「行政処分」とは行政(省庁や自治体)が何かを認めたり課したりする行為。営業の認可など。スピード違反で切符を渡される交通反則通告制度がわかりやすい。本当は道路交通法違反で「刑事処分」(逮捕→起訴など)されるところキリがないので「反則金を納めれば刑事手続きは許してあげよう」という趣旨です。

 「事情判決」とは「違法だから取り消」したら公益を著しく損ねると判断した場合を指します。例えばダム建設で土地が収容されたいきさつが違法であってもダムはもう完成しているといったケース。いまさらダムをぶっ壊すと公益を著しく害するゆえに請求を棄却するといったものです。

 この規定は選挙訴訟には適用できないと法は明記しています。しかし現実問題として選挙を無効としてやり直すとなると大変な混乱が生じるであろうから事情判決が下される理由を援用するという考え方が「法理」となります。

 ただ13年選挙で広島高等裁判所岡山支部は違憲・選挙無効まで命じています。2つの合区で合憲を2回勝ち取ったからといって前進しなければ初の最高裁での無効判決が次回以降で出ないとも限りません。

坂東太郎
日本ニュース時事能力検定協会認定講師
毎日新聞記者などを経て現在、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。近著に『政治のしくみがイチからわかる本』『国際関係の基本がイチから分かる本』(いずれも日本実業出版社刊)など。


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