したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

金融機関観察スレッド

2684とはずがたり:2016/05/02(月) 18:48:21
>>2683-2684
 そもそも、近年日本では金融機関による貸出競争が激化しており、これ以上は貸出基準を引き下げないと無理で、そうすると不良資産が増加し経営が悪化していきます。これもマイナス金利が導入された欧州銀行の経営悪化の一因とも考えられます。

 金融市場の貸し出しですが、まずは短期から行うのが筋です。しかし、短期の資金市場では1年物までが限度で、1年以上は国債の購入ということになります。つまり、マイナス金利などの短期の金融政策が導入されたときには、このように期近なものから、徐々に広がっていくことになります。まさに今回も時間を置いて10年物国債までマイナス金利になりました。

超長期国債の金利低下は銀行経営を圧迫し統合の引き金になる

 どの国でもそうですが、日本の国債も10年物国債を基準として、短期国債(6ヵ月・1年)、中期国債(2年・3年・5年)、長期国債(10年)、超長期国債(15年・20年・30年・40年)となっています。

 図1にあるように、金利は期間が長くなるほど高くなることが一般的で、その金利水準をつないだものをイールドカーブ(利回り曲線・金利曲線)といいます。このイールドカーブにも見えるように、10年物まではやや直線的なイメージよりは低いレートで取引されています。つまり、10年物以降、金利のレベルがやや角度をつけて上がります。

 ちなみに、日本銀行は毎年80兆円もの国債を購入し、現在でも市場で約3割を保有するという重要な役割を担っています。2014年10月の量的・質的金融緩和の導入時に、買入国債の平均残存期間を延ばして7年〜10年程度にしています。

 銀行や保険などの金融機関は、資金を国債で運用している先が多いのです。銀行を取り巻く状況としては、預金のうち貸出に回るのが約7割程度で、しかも貸出競争の激化で融資部門では収益が生まれにくくなっています。そのため、収益の多くの部分を20年物を中心とした超長期国債の購入に頼っています。特に地方銀行は、都市銀行のように海外業務で収益を上げる構造にはなっていません。つまり収益の主力が国債の利子なのです。

 図2で分かるように、20年物国債金利は1.0%弱のレベルでしたが、マイナス金利の導入後、最近では0.6%以下まで下がっています。つまり、20年物国債の収益性が4割下がったわけです。

 このように、20年物を中心とした超長期国債の金利低下の方が、単純な日銀当座預金のマイナス金利の導入よりも、金融機関の収益に与える影響は大きいのです。

 さらに、銀行では、国全体を支える「決済インフラ」改革が進行中で、日本銀行の決済インフラ「日銀ネット」の決済時間が延長され、また24時間振込を可能とする決済インフラ「モアタイム・システム」が導入されることが予定されています。さらには、国債決済期間を2日後から1日後決済へと短縮化することも予定されています。この決済インフラ対応のシステムや事務の負担も、銀行の経営を圧迫します。

 そうでなくても地銀の合併が進んでいる中、マイナス金利がその動きを加速する可能性が高いのです。実際、決済インフラを手掛けるシステム会社には、マイナス金利導入後、地銀からシステム統合に対する相談が急増中です。システム統合は銀行合併の第一歩です。

【著者紹介】
しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、来年の4月で10周年、まもなく200回開催、9月に会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板