したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

PC関連スレ

1■とはずがたり:2002/11/04(月) 22:01
新規購入を検討するスレ

790とはずがたり:2009/04/04(土) 16:15:56

石井裕の“デジタルの感触”
第4回
タンジブル・ビット:ビットとアトムを融合する新しいUI
http://ascii.jp/elem/000/000/055/55585/
2007年08月06日 17時08分更新
文● 石井裕(MITメディア・ラボ教授)

GUIが越えられない仮想と現実の壁

「Tangible Bits(タンジブル・ビット)」とは何か?

 今回は、この連載で幾度となく登場しているタンジブル・ビットの定義と特徴をあらためて紹介しようと思う。難しいところもあるだろうが、少々お付き合いいただきたい。

「仮想」と呼ばれるオンライン・デジタルの世界は、パソコンや携帯電話の遍在化、常時オンのネットワーク接続によって「現実」の日常生活に深く食い込んでいる。その結果、「現実」と対比してあえて「仮想」と呼んだ二極対立的な世界観は消滅しつつある。

 一方、オンライン・デジタルの世界(仮想)と物理世界(現実)との境界面に位置するユーザー・インターフェース(UI)という観点では、依然はっきりとした不連続面が存在する。

 仮想世界は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)によって規定されたピクセル主体の世界だ。スクリーンという四角いガラス窓からしかのぞくことができないものの、変幻自在なピクセルに基づいたGUIは多様な機能を視覚的にシミュレートできる汎用性を備えており、それがGUIの大きな成功の要因となった。しかし、マウスやキーボードといったリモコンでしか操作できないため、ユーザーの身体を情報から引き離し、オンライン・デジタルと物理世界との間に見えない壁を築いてしまった。

TUIというパラダイム

 タンジブル・ビット※1は、GUIと異なる新しいユーザー・インターフェースをデザインするためのパラダイムである。GUIのように物理世界を「メタファー」としてグラフィカルにシミュレートするのではなく、物理世界そのものをインタフェースに変えることが、その究極の目的だ。

※1 「タンジブル・ビット」の理論的なアプローチについては、'97年のCHIで発表した石井/ウルマーによる次の論文を参照のこと:Ishii, H. and Ullmer, B., Tangible Bits: Towards Seamless Interfaces between People, Bits and Atoms, in Proceedings of Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '97), (Atlanta, March 1997), ACM Press, pp. 234-241.

 タンジブル・ビットの基本的なアイデアは、情報に物理的表現を与え、ユーザーが身体を使って情報を直接操作可能にすることにある。物理的実体を与えた情報に直接触れて、感知・操作できるようにするという目的から、これを「Tangible User Interface(TUI、タンジブル・ユーザー・インターフェース)」と呼ぶ。「tangible」とは、「触れて感知できる実体がある」という意味だ。

GUIとTUIのモデル

 情報操作のインターフェースを構築するためには、次の2つのキー・コンポーネントが不可欠である:
人間がその感覚器を用いて知覚可能な情報の外部表現(出力)
人間がその手や体を用いて情報を操作可能にするための制御機構(入力)

「Model-View-Controller(モデル・ビュー・コントローラー)※2」のモデルをGUIの基本概念モデルに拡張した模式図と、TUIのそれを比較してみよう。

791とはずがたり:2009/04/04(土) 16:16:35
>>790-791

※2 「Model-View-Controller」(MVC)は、プログラム言語「Smalltalk-80」で提唱・実現されたソフトウェアの設計モデル。Smalltalkはもともと、現在のGUIに多大な影響を与えた「Alto」のOS的位置付けにあった。
ttp://tohazugatali.web.fc2.com/PC/04_02_o_.png
グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)のモデル
ttp://tohazugatali.web.fc2.com/PC/04_03_o_.png
タンジブル・ユーザー・インターフェース(TUI)のモデル

 GUIの特徴は、表現(representation)が直接触れることのできない「インタンジブル」なピクセルやサウンドであり、入力/コントローラーのみが「タンジブル」であること。さらに、その入力機器が多目的で汎用的にできていることにある。

 一方、TUIは触れて感知できる「タンジブル」な情報表現を用いることにより、表現(出力)メディアそのものを操作(入力)のメカニズムとしても利用できる。さらに、インタンジブルな情報表現とタンジブルな情報表現をシームレスに組み合わせることにより、ダイナミックでより直接的なインタラクションを可能にする。例えば、タンジブルな建築模型をセンサーが追尾し、コンピューターが光の様態を計算、インタンジブルなデジタルの影としてプロジェクターが投影する。これにより、模型を手で動かしながら、影の動きや光の反射などをシミュレートできるのだ。

TUIの4つの特徴

 TUIの備える4つの特徴を整理すると、まず挙げられるのは直接操作性だ。GUIにおけるインタラクションは、マウスのようなリモコンによる間接的な操作であり、かつ視覚的・聴覚的なインタラクションに限定される。それに対してTUIは、タンジブルな情報の外部表現をインタラクションの制御メカニズムとしても同時に利用できる。情報と計算に対する直接操作性を飛躍的に高め、個々の情報に特有の触覚的なフィードバックをインタフェース・デザインに生かすことを可能にするのだ。この直接操作性の向上には、「タンジブルな表現=制御」というTUIの原理から導かれる「入力空間と出力空間との一致」という特性が大きく貢献している。

 2つめの特徴は、先にも述べたタンジブルな表現とインタンジブルな表現のシームレスな融合にある。情報の物理的な外部表現の欠点は、内部のデジタル情報の変更に応じて、ダイナミックに物理表現を変えられないことだ。GUIがピクセルを並べ替えて容易に姿を変えるのに対して、実体を持つモデルの形や大きさ、色などを変化させることは困難極まりない。この問題を解決するために、TUIではタンジブルな物理的な外部表現とインタンジブルな表現を重畳させて、シームレスにつながるハイブリッドな情報表現を積極的に利用する。個々のTUIが成功する鍵のひとつは、タンジブル/インタンジブルな表現が知覚的に「ひとつ」の連続した情報表現として、ユーザーに認知されるかどうかにある。

 3つめは、GUIと異なりTUIが汎用的なインターフェースを目指していないことだ。TUIは特定のアプリケーションにおける操作性の向上を目的に、特化した専門インターフェースを指向する。特に、その分野で長年培ってきたスキルや経験を生かし、物理表現の操作性や直感的な理解のしやすさをデジタルの力で増大させるというのが基本理念である。都市計画で建築模型を用いるがごとく、コンピューターが普及する以前に、物理的な表現メディアやツールで培った体験と連続性・親和性を保ちながら、デジタル技術を自然なかたちで取り込むことをTUIは狙う。

 最後にTUIの最も重要な特徴は、空間的に多重化された入力(space-multiplexed input)を自然なかたちで支援するということにある。タンジブルな情報表現は、それぞれが独自の空間を占める専用の制御装置として機能するため、両手を使った並行操作や、複数のユーザーによる同時並行的な処理を自然にサポートできる。時間的に多重化された入力(time-multiplexed input)を提供するGUIでは、ユーザーがひとつの入力デバイスを異なる目的の間で時系列的に切り替えながら、ひとつひとつ機能を実行するために使用する。TUIと大きく異なるポイントだ。

 今回は硬い説明になってしまったが、次回からは具体例を紹介しながら、TUIの特徴と応用について話を深めていきたい。
(MacPeople 2005年10月号より転載)

筆者紹介─石井裕
米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ教授。人とデジタル情報、物理環境のシームレスなインターフェースを探求する「Tangible Media Group」を設立・指導するとともに、学内最大のコンソーシアム「Things That Think」の共同ディレクターを務める。'01年には日本人として初めてメディア・ラボの「テニュア」を取得。'06年「CHI Academy」選出。「人生の9割が詰まった」というPowerBook G4を片手に、世界中をエネルギッシュに飛び回る。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板