※1 「タンジブル・ビット」の理論的なアプローチについては、'97年のCHIで発表した石井/ウルマーによる次の論文を参照のこと:Ishii, H. and Ullmer, B., Tangible Bits: Towards Seamless Interfaces between People, Bits and Atoms, in Proceedings of Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '97), (Atlanta, March 1997), ACM Press, pp. 234-241.
タンジブル・ビットの基本的なアイデアは、情報に物理的表現を与え、ユーザーが身体を使って情報を直接操作可能にすることにある。物理的実体を与えた情報に直接触れて、感知・操作できるようにするという目的から、これを「Tangible User Interface(TUI、タンジブル・ユーザー・インターフェース)」と呼ぶ。「tangible」とは、「触れて感知できる実体がある」という意味だ。
筆者紹介─石井裕
米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ教授。人とデジタル情報、物理環境のシームレスなインターフェースを探求する「Tangible Media Group」を設立・指導するとともに、学内最大のコンソーシアム「Things That Think」の共同ディレクターを務める。'01年には日本人として初めてメディア・ラボの「テニュア」を取得。'06年「CHI Academy」選出。「人生の9割が詰まった」というPowerBook G4を片手に、世界中をエネルギッシュに飛び回る。