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PC関連スレ

2059とはずがたり:2017/02/06(月) 19:42:40
インテルの悩み

一方インテルはそのCPUハードアーキクチャの主眼をひたすら周波数の向上に置いていた。インテルのマーケティング手法は386/486世代あたりからCPUの価値を周波数の向上に置き換えて市場をリードする"周波数マーケティング"を確立していった。これは技術的な詳細がわからない一般ユーザーに対しては大変効果的なマーケティングである。何しろメッセージが単純である。"100MHzより120MHz、120MHzより133MHzの方が性能がはるかに上です"というのは大変にわかりやすいメッセージで、これが"386より486が性能が上です、486よりPentium(586)の方が性能が上です"、というメッセージに被らせて世代交代を図ってきたのであるから、その頃のインテルにとっては金科玉条のテーゼであり、技術部門もこれに沿ってCPUアーキテクチャの開発を行ってきた。

しかしAMDのK7の登場で、インテルだけでCPUのマーケティングを主導することが難しくなってきた状況が現出した。それでもインテルはひたすら周波数の向上にこだわった。そこで登場したのがNetburst(ネットバースト)アーキテクチャである。インテルは従来のPentium IIIからPentium 4への移行に際してネットバーストというアーキテクチャを導入して周波数の飛躍的な向上を目指した。単純に言ってしまうとパイプライン(とは註:処理要素を直列に連結する仕組みの事の様だ)を深くして周波数を上げやすくする構造である。因みにPentium IIIの最後の製品のパイプラインは12段であるのに対し、ネットバースト・アーキテクチャを実装した初代Pentium 4(開発コードネーム:Willamette)は20段に、後期のPentium 4であるPrescottになるとパイプラインは31段にも達した。

これを製品での周波数向上にしっかり反映させたのは業界他社を寄せ付けないインテルの優れたプロセス技術である。インテルは180nmプロセスで周波数1GHzであったものが、130nmでは3.4GHzまでに達するほどの優秀なプロセス技術を誇っていた。これが可能となったのは周波数を上げるための方策としてのパイプライン・アーキテクチャを極めるCPUデザインチームと、半導体技術の根幹であるプロセスエンジニアが1つになって、ひたすらトランジスタの周波数向上に邁進したからである。しかし、ここに物理の法則が立ちはだかった。リーク電流による消費電力の上昇である。インテルは一時ネットバースト・アーキテクチャで10GHzまでを視野に入れているという発表を行いそのロードマップを公表した。しかし実際にはPentium 4の後期製品であるTejasでは2.8Ghzを達成したが、消費電力は120Wを超えることとなり、パソコン基板の熱設計上、非常に困難な結果を招いた。

これに対して、プロセス技術では常にインテルの一世代後を追いかけていたAMDは、インテルがBulkシリコンを使用するのに対し、SOI(Silicon On Insulator)ウェハを増産ラインに導入するという大きな賭けに出た。Bulkシリコンを使って微細加工をひたすら追求する(これには巨額な開発投資が伴う)インテルに対抗するために、AMDはMOSFET構造の下側に絶縁膜を形成するSOIと言われる特殊なシリコンウェハを使用した。SOIウェハは値段が高い上に、大量製品の基板材料としてはかなりデリケートなものであるが、"リーク電流を抑えながら動作周波数を上げる"、という点では効果がある。AMDは初期の130nmの製品ではかなり苦労したが、90nmへの移行のころには次第に量産ラインにうまく乗るようになっていた。

サーバーの現場では性能向上もさることながら、消費電力の低減も大きな課題となってきていたので、AMDはOpteronのマーケティング・メッセージを性能一本から、電力当たりの性能に切り替えていった。インテルはここに来てネットバースト・アーキテクチャで周波数の向上をひたすら図るという基本姿勢を見直す必要に迫られた。結局、インテルは2004年発表のTejasコアのPentium 4の発表をもってネットバースト・アーキテクチャの終息を決定した。これに続くアーキテクチャが現在まで継承されているCore(コア)アーキテクチャである。

[13] デュアルコアで花開いたK8アーキテクチャ

デュアルコアAthlon64X2登場

朝出社したら、コンシューマー・チャネル・マーケティング部のМ君が眠そうな目をこすりながら、しかしかなり興奮気味に話しかけてきた。本社から到着した新製品のサンプルの性能評価を頼んでいたのだ。多分昨晩は性能試験ラボの中で徹夜だったに違いない。日本AMDでは新製品のサンプルが到着すると、いろいろな性能評価を行いその結果をもってマーケティングの計画を練るのだ。性能評価にはもちろんインテルの競合製品との性能比較も含まれている。М君によれば、"デュアルコア、ぶっちぎりで速いっす!!。どのベンチマークでやってもインテルに完全に勝ちます!!"、ということだ。М君が今回テストしていたのはK8シリーズで初めてのデュアルコア製品であった。 後にAthlon64X2として発表されたものである。


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