当時のコンピューター産業の中心はメインフレームのIBM、DECとその互換のBUNCH(Burroughs、UNIVAC、NCR、Control Data Corporation、Honeywellの頭文字)、などの米国東海岸の企業が中心であり、シリコンバレーの半導体会社はあくまでもベンチャー系の亜流であった。このようなコンピューター会社は、それぞれが自分のシステムに使用する半導体パーツを自身で製造していた。特にコンピューターの頭脳であるCPU(Central Processing Unit)は自社設計のものを自社のコンピューターに使用するというのが常識であった。要するに今ではスーパーコンピュータにも使われるのが当たり前である汎用CPUなどというものは存在しなかった。
最近、その時代のシリコンバレーの話がよく書かれている本に出会った。National SemiconductorのCEOを務めた Charlie Sporck 氏の回顧録「Spinoff」と言う本をである(Saranac Lake Publishing, New York刊)。残念ながら既に絶版らしいし、日本語訳されていないので、今では読まれる機会がほとんどないと思われるが、私としては実に面白い読み物である。