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1952とはずがたり:2016/12/06(火) 23:54:29
>>1951-1952
最先端領域で競合に敗北
 では、なぜニコンは露光装置事業で苦境にあえぐのか。
 まずは事業環境の厳しさがある。半導体は集積度が18〜24カ月で2倍になるというムーアの法則によって微細化が進められているが、光学限界を超える領域に突入し、技術的難易度は高まっている。現在、量産で最先端のArF液浸露光装置の価格は1台50億円とも言われる。それを実現するための開発費の負担が膨大になるだけでなく、受注を逃した際の損失や在庫の廃棄・評価減が経営を圧迫する。例えば、ニコンに次ぐシェアを獲得しているキヤノンは、最先端のArF液浸露光装置について製品化の直前で開発を中止し、市場参入を見送った。
 さらに強力な競合の存在もある。2000年代初頭から台頭してきた蘭ASMLだ。ASMLは現在の最先端のArF液浸露光技術をいち早く実用化したことや高い生産性などを強みに、ニコンやキヤノンから一気にシェアを奪っていった。現在はASMLが80%のシェアを獲得している状況にある。
 これまでニコンでは販売台数増加による収益改善を目指してきた。しかし、思うように受注が伸びず、「(ASMLとの)規模の差から生じる競争力の差はもはや挽回不能」(岡昌志・副社長兼CFO)と実質的な敗北宣言を行う結果となった。
 牛田社長が精機カンパニーのトップに就任したのは2005年、ちょうどASMLがシェアを拡大した時期と重なる。ASMLの強さや競争環境の激化を最前線で痛感させられてきただけに、牛田社長は今後の見通しが容易ならざるものといち早く判断するに至ったのだろう。
 ニコンは永らくカメラの映像事業と露光装置の精機事業に支えられてきた。牛田社長としては、新規分野として医療事業を展開する意向だが、まだまだ成長には時間を要する。現状は映像事業と精機事業のテコ入れにまず注力するしかない。救いは装置事業のうち、液晶ディスプレーなど向けのFPD用露光装置が好調なこと。FPD用露光装置は、キヤノンと市場を二分しており、FPD用露光装置がしっかり利益を上げている間に、構造改革をやりきる構えだ。
 もちろん半導体は最先端デバイスだけでなく、例えば成長が期待されるIoTでは数世代前の技術で対応できる。このため、成熟した技術領域での半導体露光装置の需要も根強い。ニコンは半導体露光装置では収益面を重視し、最先端分野は受注が見込める特定領域に限定し、成熟領域が中心の製品展開にシフトしていくと思われる。
 しかし露光装置という半導体生産の心臓部の花形領域で、ニコンが最先端の開発競争から撤退することは、一企業の一事業が縮小する以上の意味を持ち、そのまま日本の技術力の低下を如実に示している。


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