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PC関連スレ
1910
:
荷主研究者
:2016/10/08(土) 23:06:21
http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00400695
2016年9月23日 日刊工業新聞
革新の系譜・日本の科学技術力/スピントロニクスLSI、見えてきた実用化 待機電力ゼロのMRAMがIoTの主役になる日
固体中の電子が持つ電荷とスピン(磁石の性質)の両方の性質を工学的に利用するスピントロニクス分野。世界中で活発に研究されている、今、最も勢いのある研究分野の一つだ。ひとくちにスピントロニクスと言っても幅広いテーマがあるが、半導体の集積回路と融合した「スピントロニクスLSI」の研究は近年進展し、実用化が現実味を帯びつつある。スピンを使った次世代半導体で日本は世界をリードする。
(藤木信穂)
【総合力が勝負】
スピンLSIの試作環境(東北大電気通信研究所付属「ナノ・スピン実験施設」のクリーンルーム)
スピントロニクスは基礎となる物性研究から応用を目指す工学研究まで、日本が強みを持つ代表的な領域だ。4月には、東北大学と東京大学、大阪大学、慶応義塾大学を中心とした横断型の研究組織「スピントロニクス学術連携研究教育センター」が発足した。
4大学にそれぞれセンターを設置し、多様な技術を連携することで、スピントロニクス分野全体の成果の底上げを狙う。産業技術総合研究所などの研究機関のほか、NTTや東芝、日立製作所、NEC、ソニー、TDKなど企業が参画する。東北大のセンター長を務める東北大電気通信研究所の大野英男所長は、世界で戦うには「総合力が勝負。ネットワークが非常に重要だ」と強調する。
これまでエレクトロニクスは、電荷の性質を利用する半導体素子と、スピンを利用するハードディスクなどの磁気記録素子を両輪に発展した。スピントロニクスはこの二つの性質を同時に利用する点で新しい。スピントロニクスの応用の一つが、磁気抵抗メモリー(MRAM)だ。MRAMは、電源を切ってもデータが消えない「不揮発性」を持つ。
LSIに搭載する既存の揮発性メモリーをMRAMに置き換えれば、消費電力を大幅に削減できる。待機電力がゼロの電子機器の実現も夢ではない。
電流がつくる磁場で情報を記録する初代のMRAMに対し、日本は2000年代初頭から、次世代の「スピン注入磁化反転型」MRAMの開発を加速してきた。ソニーが05年に4キロビット、東北大と日立が07年に2メガビット(メガは100万)のMRAMを試作した。これらは、基本構造となる磁気トンネル接合(MTJ)素子に情報を記録する際、磁性膜に対して水平に磁化させる「面内磁化方式」を使う。
だがその後、水平ではなく、垂直に磁化させる「垂直磁化方式」の実証に東芝が成功。東芝と産総研は08年に、垂直方式を採用した素子を世界で初めて開発した。同方式は大容量化が可能で、10年には東芝が64メガビットのMRAMを試作した。
【半導体業界と連携】
スピンLSIを形成した300mmウエハーを持つ大野所長
実用化に向けた突破口となったのが、大野所長らが10年に開発した新構造のMTJ素子。磁性層の素材はよく知られたコバルト鉄ボロンだが、この材料を当時の常識では考えられなかった1ナノメートル(ナノは10億分の1)台まで薄くし、酸化マグネシウムの障壁層との界面の「垂直磁気異方性」を大幅に増大した。
これで素子の微細化が可能になり、LSIへの搭載が現実的になった。瞬く間に世界中でこのMTJ素子が再現され、次世代MRAMの基本構造として浸透。初代MRAMも製品化されていたが、大容量化の壁に直面していた。やがて、スピン注入型のほかにも新たな記録方式が考案され、新型MRAMは実用化の段階を迎えた。
何よりインパクトが大きいのは、「半導体業界がやっと本格的に動き始めた」(大野所長)ことだ。大野所長らはその後、NECなどと共同で、内閣府の「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」でスピントロニクスLSIの開発を推進。14年に100万個超の素子搭載の大規模な集積回路を実証した。試作したスピンLSIはシリコンLSIの性能をすでに上回り、面積比×性能(遅延時間)比×消費電力比で64分の1以下を実現した。東北大には材料や素子の開発から回路設計まで、一貫したスピンLSIの開発拠点が構築されており、半導体メーカーなどと実用化に向けた連携が進む。
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