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鉄道貨物輸送研究スレッド
2300
:
とはずがたり
:2017/03/25(土) 18:52:17
>>2298-2300
「物流コストはタダ」の意識
ここまで宅配サービスが普及すると、消費者に「意識の変化」を促すのは容易ではない。ネット通販では「送料無料」が当たり前だ。当然ながら、実際には無料ではなく、その商品の価格に送料が含まれている。ところが、ネット通販側は「送料無料」と明記しないと、その商品は売れ行きがなかなか伸びないのだという。
「送料無料」が当たり前だったのに、いきなり「送料・運賃がかかります」と言われても、消費者は簡単には納得しないだろう。運送業界は、通販会社がこのままホームページなどに「送料無料」と掲げ続けることで、消費者に「物流コストはタダ」という意識が根付き、運賃がさらに下落する要因となりかねないと危惧している。消費者の意識を変えるため、運送事業者の多くは「通販会社は『送料無料』ではなく、『送料は弊社負担』に表記を変更できないのか」と考えている。実際に通販各社に要望している運送事業者もいるのだが、通販側がなかなか応じないのが実情だという。
それだけに、ヤマト運輸が運賃値上げに踏み込んだことは、業界にとっても大きな意味を持つ。宅配事業を行っていない中小の運送事業者からも「大手が率先して運賃値上げに動いてくれなければ、中小・零細事業者は何もできない」「遅すぎたくらいだ。宅配事業が専門外の事業者から見ても、現在の宅配サービスは過剰だ」などと賛同の声が上がっている。
運送業界の人材不足を解消するには、運賃の底上げ、そしてドライバーの賃金の底上げは絶対に必要だ。しかし、アマゾンジャパンをはじめとするネット通販大手が価格交渉力を強めるなかで、中小・零細の事業者を含むすべての運送事業者が値上げできるかどうかは、疑問が残る。
宅配ロッカー、コンビニ受け取りを促進
宅配サービスの苦境を変えるためには、駅や商業施設などに「宅配ロッカー」を設置することで、宅配ドライバーの負担を軽減するのも重要だ。戸建て住宅向けの宅配ロッカーも開発されている。政府は新年度から、ロッカーの設置費用の一部を補助する制度をスタートさせるものの、普及までにはまだまだ多くのコストと時間がかかるだろう。
コンビニでの宅配荷物の受け取りも促進するべきだ。しかし、都心部などのコンビニの多くは預かり荷物の置き場が狭く、今以上に荷物を積極的に受け入れられるか疑問視する声もある。
時間指定したら必ず受け取る意識を
宅配ロッカーやコンビニでの受け取りが増えるとしても、やはり宅配ドライバーが荷受人のもとに荷物を届けることが、宅配サービスの基本であることに変わりはない。物流連の幹部は「配達時間を指定する以上は必ず誰かが受け取る。その意識を国民全体が持つことが、結局は物流システムを支え続けることになるのではないのか」と話す。
この幹部は、宅配便を時間指定した際には、必ず家族の誰かが家にいるようにしている。宅配ドライバーから「いつも在宅でありがとうございます。そういう家は本当に珍しいんです」と感謝されることがあるという。再配達で苦労しているドライバーがそれだけ多いということだろう。
日本の宅配サービスは、ヤマト運輸の2代目社長だった小倉昌男氏(故人)が1976年に始めた「宅急便」が先駆けだ。「荷物がいつ到着するのかわからない」という状態だった国内の輸送システムを革新し、「時間帯指定」が当たり前の消費者サービスとして、宅配便は私たちの生活に欠かせないものになった。しかし今、その宅配システムが揺らいでいる。荷主と荷受人をつなぐ運送事業者の誰もが「泣き」を見ない、新たなシステムの構築が求められている。
プロフィル
小西 克弥(こにし・かつや)
1972年、大阪府生まれ。96年、物流産業新聞社入社。全国ネットの物流・ロジスティックの総合専門紙「 物流ウィークリー 」の編集長。
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