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企業の提携・合併観察スレ

1565とはずがたり:2015/10/24(土) 21:48:13
>>1564-1565
シャープの場合は2002年3月期から2012年3月期までの11期で、FCFが6回もマイナスとなっている。当然の事ながら、それをまかなうためには借り入れか株の発行が必要なのだが、シャープは借金に頼った。

「シャープが韓国勢に負けた理由と持ち家の未来」で引用した記事によれば、液晶パネルの工場は着工から完成まで2年かかるとある。実際、かの有名な亀山工場も堺工場も着工から稼動まで2年もかかっている。

物作り企業は売り上げが発生する前に大規模な設備投資を行うのは当然で、この部分を完全に否定するのは無理がある。とはいえ、工場を作るだけで2年もかかるのであれば、投じた金額を回収するまでは10年単位の時間がかかってもおかしくないだろう。このようなリスクのある投資を借り入れ金だけに頼った事は大きな判断ミスだ。

2005年3月期の時点では総資産に占める固定負債(支払いが1年以上先の負債)はわずか8.1%だったものが、2012年3月期には22%まで上昇している。金額で言うと4000億円ほど固定負債が増えているが、これを半分でも株式の発行でまかなっていれば、台湾企業に振り回されるような事態にはまだ陥っていなかったに違いない。堺工場に着工した2007年頃、シャープの株価は2000円を越えていた。当時2000億円を新株の発行で調達していれば、必要な発行株数は1億株でシャープの総発行株数(約10億株)の1割程度で済んでいた事になる(当時のPBR2倍で資金調達となれば非常に有利な条件だ)。

今2000億円を新株の発行で調達しようとすれば、現在の株価200円程度で計算すれば10億株も必要となる。これは現在の発行株数とほぼ同じ数だ。仮にこの案を実行すれば、発行株数は一気に2倍となる。第三者割り当て増資で一社から調達すれば保有割合50%の超大株主が突如出現して経営権を完全に握られる。実際にはこれだけ株を発行すれば株価は急落するので、50%以上の株数が必要となる。普通に考えてここまで無茶な増資は出来ない。

2002年3月期から2008年3月期まではシャープは6期連続で売り上げ・利益とも更新を続けた。2007年に着工した堺工場はまさに絶頂期に行われた設備投資であると言える。新株発行で2000億円も資金を集めれば当然のことながら波風も立つ。既存株主は株式の希薄化(ダイリューション)といって、一株あたりの利益が減ってしまうからだ。業績が絶好調の時にあえて株主を刺激するよりは銀行と交渉して融資を引き出す、あるいは社債やCP(コマーシャルペーパー)を発行する方が経営陣にとって抵抗が少なかった事は想像に難くない(あくまで業績が好調であれば、という但し書きがつくが)。

2005年時点での自己資本比率は42.1%と、決して低くは無い。借り入れが多過ぎるという事も無かった。あえて株を発行する必要はない、金利も低いのだから資金が必要ならば借り入れで、というのは当然の判断ではあるが、ありとあらゆる電子機器が生鮮食品のように値下がりするトレンドを甘く見ていたフシはあるだろう。

低価格化から抜け出すために、大型パネルを製造できる堺工場を作ったことも間違いとはいえないのだろうが、JEITA(電子情報技術産業協会)のデータによればテレビの国内出荷台数は2000年以降、毎年700〜1000万台で安定している(薄型・ブラウン管の合計)。家電エコポイントや地デジ化に沸いた2010年・2011年は出荷台数がそれぞれ2519万台、1982万台と急激な増加を示したが、これは異常値として見るべきだろう。

したがって海外出荷の急激な増加を見込める状況でなければ2007年時点での巨額の設備投資はかなりハイリスクだった(実際に2009年3月期には一度1258億円の大赤字に陥っている)。これを借り入れ金だけでまかなった事は見通しを誤ったと見るべきだろう。株で調達した資金をリスクマネーとも言うが、長期かつハイリスクな事業への投資資金は株でまかなう、というセオリーを経営陣は守るべきだった。

シャープの問題は液晶テレビの価格が下がった事・売れなくなった事以上に、売れなかった時に破綻しかねないほど借り入れ金が増えていた事、逆に言えば株による資金調達をためらった事が原因では無いのか。過去の借り入れ金の推移を見るとそのように言わざるを得ない。


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