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おしゃべりルーム
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再びいろいろ
今、聖ヨセフにおける父性の話を書こうとして、家族の歴史を調べてたら、3世紀ごろのイタリアでは、奴隷の子や単に可愛い子が愛玩用に売買されていたそうです。小さい子の声が聞こえると家が明るくなるし、我儘もまた可愛いと。私も近頃は猫で代用してますが、小さい子がわらわらといて騒いでいるホームの雰囲気が欲しくて、養子はあきらめましたが、小さい子を抱えた母子とかに同居してもらおうかなとか時々考えます。何か、レオナルドも、そんな心境で美しいサライを泳がせていたのかなあとふと考えました。ルネサンス時代も愛玩用の子供や小人を王侯は「飼っていた」のですから。孤独は受け入れたけれど、装飾と活力源として、若くてどうしようもない子供を必要としていたのかも。
『聖骸布の仔』の方は、この手のテーマだと、私はつい自分でも小説が書けると思ってしまうんですが、この小説に関しては、「私には絶対に書けない」であろう玄人業がふんだんにあって、脱帽しました。この30年で私が訳したいと思った第2の小説です。第1の小説もジャンル分け困難なすごく魅力的なもので、かってに挿絵まで描いたのですが、当時、サンリオSF文庫に版権をとられてしまいました。ぜひ訳させてほしいとサンリオに手紙を書いたのですが、返事がなく、出版はされましたがサンリオ出版もその後つぶれてしまい、がっかりです。今度めぐり合ったこの本は縁あって出させてもらえて幸せですが、テーマが重層的で中身が濃いので、いろいろに楽しんでもらってOKです。
W杯はフランスが負けたので残念でしたが、今日のル・モンドにイタリアの元大臣(ロベルト・カルデローニ)のコメントが報道されていて、それにびっくりしました。短いので訳しますと、「ベルリンでの勝利は、われらのアイデンティティの勝利、ロンバルディア人と、ナポリ人と、ヴェニス人と・・・らをひとつにしたチームの勝利だ。このチームが、結果を得るために自らのアイデンティティを犠牲にして黒人とイスラミストと共産主義者をひとつにしたチームに勝利したのだ」というのです。もうびっくりです。
はっきりいって、ああいう状態の選手もサポーターも、別に紳士的だと期待してないので、侮辱してもそれを頭突きで返しても、なんでもあり得ると思いますが、一国の大臣までになった政治家が・・・フランスチームの誰が共産党なのか知りませんが、それがどうした、としか言えません。イスラミストという言い方は、こちらでは今やテロリストと同義ですし、フランスチーム23人のうち8人、つまり3分の1以上が西インド諸島のフランス海外県出身です。旧植民地だとか奴隷の子孫とかいうより、ともかく現実に、本土ではないけれどもう先祖代々フランス生れのフランス人ということで、アメリカのようなアフロアメリカンのような感覚もありません。南米の仏領ギアナも含めて中南米文化としてサッカーが盛んなので、本土のクラブがスカウトしに行くわけですが、日本の相撲部屋でさえ有望な新人を求めてトンガとかモンゴルにスカウトに行くのですから、フランス本土のクラブが同じフランスの飛び地の優秀なフランス人を連れてくるのは不思議ではないし。
それをいうならミッシェル・プラティニだって、名からすると、明らかにイタリア系移民だと思いますが、100パーセントフランス人のヒーローでした。ただ、肌が黒いというだけで、何代も続けてフランスに生まれ育ちフランスの教育だけを受けたチュラムに、イタリア人がずっと猿の鳴きまねなどの差別言辞を浴びせてきたのです。それなのにイタリアのサッカー協会は見てみぬふりでした。
私も、実はひそかに、イタリアチームはいかにもシーザーやダヴィンチやメディチやガリレオの子孫みたいでかっこいいなあ、それに引き換え、フランスチームは、とてもルイ14世やデカルトやヴォルテールの子孫とは見えないからなあ、と文化的ネーションを捨ててエスニック・フリーの共和国を守ることのさびしさとかを感じてたんですが、イタリアの政治家がこんなことをいうなんて、これならアングロサクソンの偽善的なポリティカル・コレクトネスの方がよっぽどましですね。とにかく、フランスなら極右だって建前としての共和国主義は不可侵なので、こんなこと口が裂けてもいえません。EUは人権について同じ価値観を共有してるはずなのだから、こんなことを言う政治家はEUの人権法廷に訴えれば、と思ってしまいます。
そうすると、ルネサンスの文化人の子孫のように見えてたイタリア選手が、マフィアのチンピラみたいに見えてきました。文化の継承とは、血縁や見た目で決まるのではなく、理念や価値観や、絶えず更新される努力にあるのです。(考えたら、柔道や剣道や相撲で相手を挑発したり罵詈雑言を浴びせるなんて考えられませんね。競技中に罵り合うスポーツなんて・・・)まあ、ブラジル選手には少なくともそういうことはないでしょう(多分)。あそこまで混血が進んだ文化だと、少なくともエスニックのアイデンティティで差別しないでしょうね。読唇術の専門家によると、マテラツィがジダンに言ったのは「お前のおふくろがどうとか」というよくある下品な罵倒だったそうです。一度はやり過ごしたジダンが戻っていって頭突きとなったのは魔が差したのでしょう。 人類の祖先はアフリカから世界に広がったというのはもう定説ですし、みんなが類としてのよりよい部分を継承していきながら後世にも伝えていけばいいですね。
しかしW杯の度に各国のメンタリティの違いが観察できて興味深いです。世界は広い、でも、祭りの感動とかが共有できるのですから、世界に希望を持ち続けたいです。
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