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おしゃべりルーム

142Sekko:2006/12/23(土) 02:40:35
あれこれ
 また私です。最近、アラン・レネの新作『心』という映画を観ました。アラン・レネって、84歳とかで、今は世界の映画界の長老では?って年ですが、それでいて、このような斬新でフレッシュで、残酷で毒のある美しい映画を撮るのはすごいです。パリが舞台なんですが、絶対ありえないというくらい、何日間も雪が降り続けているのです。室内のシーンでも外の雪が見えたり、部屋の中に幻想で降ってきたりします。これは心象風景の雪なんでしょう。カトリックの敬虔な信者であるサビーヌ・アゼマは、さえない独身女性で不動産屋で働いているのですが(それでこの映画はまた、住居に対するアレゴリーというか、住まいも心象風景になったいる)、実は2重人格で、夜は寝たきり老人の介護ボランティアなどしながら、ボンデージ・ファッションに身を包んで、老人のベッドの横で服を脱ぎながら踊ったり(老人は発作を起こしたり、気がふれたと思われたりする)、自分のそういう姿をヴィデオに撮って、そのカセットにカトリック系のTV 番組も入れて、同僚に貸したりするんです。他に、豪華キャストが、孤独で欲求不満で生きにくい人間模様をいろいろ繰り広げるのですが、怖いけれど重さがなく、コミカルな部分もあり、こういうのをベルイマンに撮られたら『サラバンド』を観た後のように人生観変わってしまいそうですが、そこはフレンチ・エレガンスのおかげで、暗くならずにすみます。そういえばベルイマンはレネより4歳上だから、『サラバンド』を撮った時は、やはり80代?

 次に、最近いただいた日本の本で、面白かったものを3冊紹介です。まず、中公新書の『現代アメリカのキーワード』と『性と暴力のアメリカ』。あわせて読むとおもしろいです。鈴木透さんの後者は、内容の整理の仕方といい、説明のうまさといい感心しました。私は最近奴隷制を研究してたんで、関心のツボにはまったこともありますが。アメリカが性と暴力の特異国だという検証は、わかってはいたもののちょっと背筋が寒くなります。こんな国が世界の派遣を持ってて、いったいどうやって付き合ったらいいんだという感じです。フランスにはアメリカの病理やパラドクスを書いた本はたくさんあるんで愛読(?)してるんですが、日本人のこういう本は新鮮でした。『キーワード』の方も、情報の羅列じゃなくて編者のスタンスがはっきりしていて、読み物としても面白いです。
 3冊目がNHK出版の哲学のエッセンスというシリーズの中の『スピノザ』。うちの猫の名がスピノザであるように、私はスピノザが好きなんですが、この著者の上野修さんも、ファンになりました。わかりやすく書くことのお手本みたいで、橋本治さんの文を読んでるのかと錯覚するほどノリもよく、スピノザを解説する人はこうでなきゃ、とその人選に感謝。私が準備してる無神論についての本の読者は先にこの本を読んどいてほしいなあ、そしたら楽なのに、とか思っています。薄いし、とにかく読みやすいですよ。
 後、フランス語ですが、近頃のお勧め本は、絵画鑑賞好きな精神科医が、名画を鑑賞しながら、幸せになる方法を伝授してくれる本があって、ゴッホ、クリムト、フェルメール、シャルダン、レンブラント、ドラクロワ、ゴーガン、モネ、ボナール、シャガールなどの25の絵を見ながら、幸せの25のレッスンが書かれています。幸せとは生きたサイクルで、生まれ、育ち、なくなり、暗い夜を経てまた回帰するというその各段階に対応する名画の解説があります。Christhophe ANDRE 『 De l'art du bonheur 』(L'Iconoclaste) ですが、検索する方は、題名だけで検索するとダライラマなんかの言葉を集めた『幸福の技術』という本が先に出てくるので、著者名も入れてください。この本ではArt が技術と美術の二つの意味をかけて使われてます。聖アウグスチヌスやアランやラマルティーヌらの言葉も散りばめられていて、なごむとともにインスパイアもされて、おしゃれで、押し付けがましくもなく、机上の一冊として見てるだけで気持ちいいですよ。こんな本、訳本が出ればいいんですけど。




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