3.5 討論
スフィアは試験管内で三胚葉に由来する細胞に分化した。それは分化または分化転換<訳注:すでに分化した細胞が別の細胞種に転換する現象>のいずれかであると分かっている。また間葉系幹細胞の試験管内分化能との違いに言及することは困難である。
しかし、少なくともスフィア形成細胞はさまざまな成体細胞の生成を可能にした。加えて、生体内分化実験はスフィア形成細胞が実際に幹細胞であることを証明したが、増殖能力においてES細胞と峻別された。増殖能と分化能との関係はもう理解されてきている。この研究におけるスフィアは間葉系幹細胞と神経幹細胞の両方の基準を満たす分化能を示した。私たちは研究しているスフィアに間葉系と神経系の両方の幹細胞系統への前駆細胞が含まれていると信じている。
上述の細胞が非接着性スフィアとして知られ、かつ生体内に存在することが知られていないことに留意することが重要である。スフィア内細胞の試験管内での挙動は生体内に存在する細胞とは非常に異なる可能性が高い。如何にこれらの幹細胞は成体の中にとどまり、そして如何に彼らの潜在能力を伸ばすのか。<訳注:構文が不完全なところも編集中の文章であることを示唆している。>
生成されたスフィアは、細胞の不均一な集団で構成されているようだった。同じ組織から単離された細胞から生成されていながら、同時に、いくつかのスフィアにはいくつかのマーカー発現が伴い、別のスフィアには他のマーカー発現があった。(訳注:ティシュー論文に同様の趣旨の記述がある。Spheres seemed to contain heterogeneous populations of cells, with some markers expressed in some spheres, and other markers expressed in different spheres generated from cells isolated from the same tissue, at the same time. 小保方さんはティシュー論文を下地に博論を書こうとしていることがよくわかる。)我々は、これらの違いはその中で細胞が維持されている環境の関係かなと考えている。