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「部室」板/4

24トキ:2013/01/13(日) 16:27:57 ID:gZBAM4iY
最初に、同書の「はしがき」の一部を引用します。

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人が人とともに生きている以上、好むと好まざるとにかかわらず、大小の争いやトラブル、つま
り紛争に巻き込まれることは、いわば仕方のないことです。住宅のことや、土地や資産をめぐる問
題、商売のこと、大家、賃借人、取引相手、家族・親戚間の評いから企業や共同体の中での人間関
係など、紛争が起きる状況や相手はさまざまです。いったん争いが起きれば、互いに自分の主張を
認めさせようとさまざまに働きかけることでしょう。

 最初は穏やかに事を運ぶつもりでも、次第に譲り合いのない状況にイライラし、時が明かないと
思い始めます。そしてついには裁判に訴えてでも自分の権利の正しさを認めさせようとするでしょ
う。事態が深刻なら、傷害事件や殺人事件にまで発展しかねないこともあります。
 裁判という公の場面で白黒つけるという方法を選んだとしても、本人が望むようスムーズに紛
争が解決するわけではありません。誰でも知っていることですが、裁判には時間とお金がかかりま
す。結局、紛争に巻き込まれてしまったら、巻き込まれてしまったことを呪う以外にないのかも知
れない……そんなあきらめの心境に至るしかないのでしょうか。

 もちろん紛争が好きな人などいません。しかし、もし紛争が人間が生きていくうえで必然的に起
こってしまうものだとしたら、ただ勝ち負けさえつければよいというのではなく、できるだけ上手
に解決し、その体験をその後の人生の糧にしたい、ヒ考え方を転換したらどうでしょうか。紛争の
渦中にあればこそ、見えてくる人間の知性というものを信じてみてはどうでしょうか。
 紛争に対する見方を転換した瞬間から、紛争解決が楽になると、私は主張したいのです。人間関
係を悪化させ、時間、労力、金銭をつぎ込んで、紛争の勝ち負けを決めたとして、終わってみれば
勝ったことがそれほどの代償に値するものか疑問に思えてしまうこともあるでしょう。負けた方に
してみれば、それだけの代償を払いながら負けてしまったことにいっそう納得できないはずです。
双方ともに労力を使い果たし、心身ともに疲れ、傷ついた状況だけしか残らないこともままあるの
です。勝ち負けをはっきりさせようとするからこそ、こうした事態が生まれることにさえ気づけば、
別の方法を探ることもできるのです。

 別の方法 − それは、和解です。

 これこそ、争いに対して人間が発揮することのできる最も洗練された知性だと私は信じています。
これまで私は、弁護士として和解のすばらしさを身にしみて感じてきました。そして実際の仕事の
ぅぇで和解の技術を磨くとともに、和解がどんな行動であり、どんな原理によって成り立つのかを
理論化しようと努めてきました。いくつかの本も書きましたが、それはどちらかというと専門家向
けのものでした。

 今回この本を書くにあたり、私は紛争も人間的な活動の一つであり、したがってその解決のため
にも、人間らしい洗練された知性を使ってほしい、また、それを望んでいても実際にどうすれば和
解できるのか試行錯誤している一般の人々に役立つ情報を提供したいと考えています。

「和解道」単行本: 214ページ 出版社: 朝日新聞社 (1998/10)」のp3より

(つづく)


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