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聖典引用 板

458a hope:2012/04/19(木) 09:04:14 ID:kcv2QXTk

人生読本 谷口雅春先生著

悪いところへ自然に手が行く


神想感を一か月も或いはそれ以上も続いて稽古なさった人が病人を揉んであげたりすると、自然にその手が相手の病気のところ、凝りのところに触れて行って、その凝りを解してあげるように手が自然に動いて来て、柔らかく揉んだり強く捻ったりあるいは急所(つぼ)を押さえたりすることがあります。神想観をした後で、「お母様の肩を揉んであげたい、どうぞお母さま肩の凝りの治るように自然に手を動かして揉ましてください」と念じてやると、たいていの皆さまでもそれができるようでありましょう。

そういうふうな事がどうして起こるかというと、人間の生命(いのち)は自他一体―――即ち、どの人間も神の生命に生かされていて元は一つという根本原理からくるのであります。人と吾とが別ものでありましたならば、決してこちらの手が、見えもしない向こう様の悪いところへ自然にゆくなどということはあり得ようがないのです。

眼で見てここが悪いのであるとか、聴診器を当てて見てここが悪いのだと指さすことなら誰にもできるのでありますが、そんな道具も何も使わないで、ただ神想観をして自他一体の観念を深めてから、人に手を触れて、「この人の病気を治して上げたいナ」という気持ちを起こしますと、自然とその病患部(びょうきのところ)に掌が吸いつけられるようにゆくのでありますが、これは皆さんが神想観をよく稽古してからおやりになれば判りますが、電気療法とか、生気術とか、指圧療法とかをお習いになった人でもできる人があります。

その時に掌が病気のところへ吸寄せられるような感じのする人もありますが、何の感じもなしに自然と何となしにそこへ手をやりたいという気持で、掌がその病患部へゆく人もあります。いずれにせよ、これは要するに相手と自分とが本来一つのものであるから、眼で見ず機械で測らずして悪いところが判るのであります。

この現象をもっと人間の身体と身体との触合(ふれあい)以上に広く考えて行きますと、機械の取扱い方や、鉱山の採掘や、経済界の問題などにも、ここをこうやればよくなるということが判るようになるのであります。もう少し放って置けば大故障の起こるというときに、何となくそこへ行きたくなってその故障を未然に防いだり、何となく前の晩に読みたくなったものが明くる日の試験に出ているなどはそれであります。

「この人を治してあげたいナ」と思って、そこへ手がゆくということを経済界でいいますと、「私の所で金が要る」」という事になっていると、そこに自然に金のある人が「お金を出してやろう」という気持ちになって自分のところへ振向いてきてくれるのも同じであります。

自然に故障のあるところに救いの手がいって治そうとしているのが「神」の働き、「全体の生命」の働きであります。この「全体の生命」のお助けを受けることができないのは、それは自分が「全体の生命」から離れている―――言い換えると自他一体の観念が欠乏していて、自分と他(ひと)とは別ものだとはっきりと自分と全体を区別し過ぎて、我と我が心で仕切りを拵(こしら)えているからであります。

言い換えるとその人が利己主義なのです。世の中が都合よくゆかないという人は、たいていこういう自分と他とを区別し過ぎた利己主義の人であります。自分の心の中に、彼と我とは他人であって、眼で見える通り物質的肉体によって分かれておる。人間というものはこれだけの一メートル数十センチの丈と数十キログラムの重量の肉体であるに過ぎない―――こう考えて「彼」と「我」とはすっかり物質的に別々で何等の連絡もないものだという心で仕切りをつけると、こちらの心で仕切りをつけていますから、こちらの必要な時に向こうからも誰からも助けてくれないのであります。

そして私は「運が悪い」と、ぶつぶつ言うのであります。「全体の生命」の助けが、我々を助けるやめに誰かを寄越そうとしても、自分の心が邪魔をしていてそうさせないのです。ちょうど、太陽の光は煌々と照り輝いても、私達が目をつぶっていれば、光は眼には入らないとおなじように、自他一体―――全体の命は一体―――の事実があっても、それを目をつぶって人間は別々なものだという観念を持っていると、自分の欠乏しているものを他から自然と補っていただく作用(はたらき)が出てこないのであります。


ところが神想観を実修し、『生命の実相』を十分お読みになりまして、「自分と「他」とが一体であり、「全体の生命」によって繋がっているという事が分かってまいりますと、病気の患部(わるいところ)へ自然に手がゆくように、経済界においても足りないところへ自然と他の手が届いて助けていただけるようになるのであります。

(つづく)


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