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聖典引用 板

3100流氷:2014/11/01(土) 09:18:54 ID:LyU7SE0.
   民意とメディアと政治は、三位一体

森)皆さんの意見を聞きながら、ふと思いついたことがあります。かつて今と似たような雰囲気があった時代
のことです。もちろん僕はリアルタイムには知りません。あくまでも本などで読んだ知識ですが、日本が国際連盟を
脱退した時代が、今の時代とデジャ・ブのように重複します。

司会)A級戦犯の一人でもある松岡洋石は、日本代表団の首席全権として出席した国際連盟総会で、満州国建国を認めないとの
決議を出されたとき、四五分にわたる連盟決別の演説を英語で行ってから、最後に「さようなら」と日本語で言って、堂々と退場したと
言われています。これをきっかけに日本の軍国化が加速したとの見方もあります。

森)でもね、実のところ松岡は会期中に、「脱退のやむなきにいたるが如きは、遺憾ながら、あえてこれをとらずに」と日本政府に打電しています。
つまり彼自身などうやら、脱退はまったく考えていなかったようです。この少し前に、日本の新聞一三二社は、共同で宣言を発表します。
内容は満州国の正当性を主張するとともに、「満州国非承認と連名で決議されたとしても、これを受諾しないように」と
日本政府に迫るものでした。同時に新聞各紙は記事においても、連盟から脱退すべしと国民に訴え続けています。

C)朝日新聞もそんな主張をしていたんですね。なんだか意外。

森)最後の演説でも松岡は、日本政府や満州国の正当性を主張はしているけれど、脱退するとはひと言も言っていません。
ところがこのときの朝日新聞の見出しは、あの有名な「連盟よさらば!連盟報告書を採択 わが代表堂々と退場す」。本文では
「松岡の姿は、凱旋将軍のようだった。わが国は初めて、『我は我なり』という独自の外交を打ち立てるにいたったのだ」とも書かれています。
当然ながら国民はこの記事に熱狂し、そうした世相を背景に、日本政府は国際連盟脱退を通告し、帰国した松岡は国民的英雄として迎えられます。

D)じゃあ、連盟脱退を煽ったのは、朝日新聞をはじめとするメディアだったわけですか。

森)そのとおりなんだけど、忘れてはいけないのは、メディアも政治も民意の合わせ鏡であるということです。
つまり新聞は国民の主張や願望を反映したとの見方もできる。そう考えたとき、仮にいま安倍政権が諸外国に対して強気の外交を
行っているとしても、その理由は、強気にならないと支持率が下がるという危機感があると考えたほうがいいと思う。
つまり強気になったのは安倍政権ではなくて、この国の民意です。そもそも安倍さんの今の人気は、拉致が明らかになった北朝鮮に対して、
強硬な姿勢を示すことで始まりました。強気に出たほうが国民は支持する。そう考えたとしても不思議はない。

A)ブッシュ政権を見習った可能性もありますね。

D) じゃあ、そもそもの要因は民意だということになりますか。

森)ただしその民意は、メディアによって大きな影響を受けながら形成されます。
でもメディアも民意に誘導される。先ほど満州事変後の状況を説明すれば、新聞は当初、軍部の
大陸進出に対して批判的でした。でも部数がどんどん落ちる。それで強硬な方針に換えた。
満州勃発から数ヵ月後、「国家重大事なのだから、なるべく軍部を批判するような記事は載せない」と決めた
朝日新聞重役会議の議事録が残っています。

 この朝日の変節について、右翼からの圧力があったとの説もあったけれど、むしろ圧力よりは自主規制だろうと僕は思います。
要するにメディアも民意によって造形されていると言えるわけで、.....悩ましいですね。民意とメディアと政治は常に三位一体、三つ巴なんです。

  『アは「愛国」のア』 森達也 著


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