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聖典引用 板

300「訊け」管理人:2012/03/27(火) 16:48:48 ID:Lnhsn5Ng

(つづき)


 しかし、明るさと美しさとは、単なる形や色彩のことではありません。それは“これこそがそれだ”と決められることではありません。ただ、それは“自分にすでに動いている輝きを賞めたとき、外に感じられてくるもののすべてである”ということが出来るのではないかと、人類は気づきはじめています。そのとき感じたものを、内からもよおすままに筆を動かせば、セザンヌの言ったように、「形ではない」美しさが、そこに写されるのです。
 アスファルトを持ち上げ、つき破って芽を出す草があります。よく見ると、アスファルトに一番さきに下から接するところは、芽のうちでも最もやわらかいところで、今生まれたばかり、あるいは生まれようとしているところ、というような全くやわらかいものです。それが一番はじめに、かたいアスファルトを破ってゆく。これは力と形からは、はかることの出来ない働きです。これはもはや、一切の形や芽と見えるもの以外の働き、不思議さです。

 このようにして、私達をとりまくすべての草や木や動物や一切のものが、この不思議さを現わして立っている。そこに何かの不思議さを感ずる心があなたの中に動いたら、そのとき、すでにあなたの絵は形式をこえて感動しているのです。
 如何につまらぬと見えるものの中にでも、このような美しさがあるということを、感じさせてくれるのが芸術家でありましょう。一切のもの、美しく見えるもの、みにくく見えるものの中にも、その不思議さに感動をくみとれば、あなたはすべてのものが喜びをもって立ち上がるのを感じ、すべてのものから感謝される、偉大な栄光に浴することでしょう。その不思議さ、美しさ、明るさ、喜びが感じられてくるには、先ず自分が落ち着かなければならない。落ちつくためには、すでに自分の中に動いている“感動したい心”をほめなければなりません。そして、このすでに自分に中にあるよろこび、輝き、感動を表現するために絵をかくのであって、絵の出来具合や成績からよろこびをもらうために描くのではない、ということを、絶えず筆をもつ前に自分に言いきかせなければなりません。
 それには自分がこのまま、神に許され、愛され、抱かれていることを知ることです。あなたは光になるためにこれからあらゆる努力をするのではなく、すでに自分はあらゆるものを内に持っている「神の子」であることを自覚することです。すべてがすでに内にあるからには、あなたが何かをすれば――たとえば描くとすれば、それはあなたの内にあった光を外に出して来たということしかありません。このようにして、あなたという光の前におかれたキャンバスは、どんなによろこんでいるか。あなたに握られる筆は、どんなに栄光に浴しているか――ということが、私には見えているのです。

 最後に、形を超えること。明るさ、美しさとは形ではない。真っ暗いものも輝いている。美しい。くらいという字は“暗い”と書くが、日を二つも書いていて、明るいという字よりも日が多くて明るい。これはなにか形を超えた美しさを暗示しているのではないかと思います。
 谷口先生は、心をもふくめて、見える形の現象を“一切なし”と消してしまわれたのです。その奥にあるものが、生命であり、美しさです。宗教は全宇宙という形をも捨て、すべての奥にあるものを拝むのです。
 それから大切なことは、あなたのしていること、やることは、一ミリの動きでもこの宇宙に初めて起こったことで、神様もびっくりして喜んでいるということです。神をもおどろかせていること、あなたにしか出来ない尊い価値のあるものだということです。そういうことですから、決して他人(ひと)の真似をしようとしてはいけません。何者かの前に立ったとき、自然と自分の中に動く想いを写生するのです。その想いだけをみつめていればよいのです。描(か)いた人の感動が感じられるようなものが、そこから生まれるのです。

 ものを見て、自分のうちに動き出すその感動を描くのですから、はじめのうちはその感動のうごくものをさがして、感じることの出来るものだけを描くようにした方がよいのです。本当は、どんなものにでも感動するようにならなければなりません。
 教材としてモデルを与えられたら、どんなものでも描かなければならないでしょうから、しばらくはよくその対象をみて、どこか一点だけ感ずるところをみつけるのです。そしてそこをほめるのです。すると、その感動が全体に拡がっていくのです。ほめられた対象が自分で“ここにもこんな美しさがありますよ”と自分で言い出すのです。とにかく感動だけを持ちつづけることです。技術がうまくいかないといって、感動の方をとめてしまうことは絶対にいけません。
 もしも「あまりの感動で一本の線しか引けなかった」という画家が出たら、それこそ私の一番尊敬する大画家です。


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