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聖典引用 板

19065:2012/02/11(土) 18:02:14 ID:jpmvgJz2
最近話題になってる「無門関解釈」の香厳上樹の所を気になって読んでみた。



太平洋戦争中の事である。ある日、私はいつになくAKのラジオのスイッチをひねって見たら、そこに語られている話は航空兵田中曹長の美談であった。
話の前半は聞き洩らしたので何処の戦闘の時であるかは知らない。上官下方准尉の操縦せる飛行機は不幸にしてそのエンジンの一つに敵弾を受けた。
味方の陣地に帰還するには距離が遠いし、予備のエンジン一個のみの力では力が足りずにズンズン機体が下降して行く。下方には敵軍が待ち設けていて、
飛行機が落下したら、それをろ獲し、乗組員を捕虜にしようと待ちかまえている――まことにこれこそ進退両難である。下方准尉は捕虜になり機体を
ろ獲せられるのは残念であるというので、潔く機体と共に自爆せんものと、既に自爆の準備を行っているのが田中機からは見えたのである。
田中曹長はそれを見ると大声で「自爆してはいけない。死するばかりが忠義ではない。生きられる限り生き延びて最後の一分までも自分の任務のために
尽くすのだ。低空飛行をして続く限り味方の陣の方へ引返せ」と呼ぶけれども、それは無論聞こえはしないのである。田中曹長は仕方がないから空中
に大きく字を書いてその旨を合図する。下方准尉はその合図に気が付いたものか自爆を中止して、エンジンが傷ついて浮揚力の少ない飛行機で低空飛行
を続けて味方の陣地へ引返そうとするのだけれども、機体はいよいよ浮揚力を失って、敵陣の中へ滑走状態で墜落した。田中曹長は上空から見ていると、
下方機は道なき道へ滑走状態で墜落したと見る間に、地面のでこぼこに衝突して転覆して破壊した。と、下方准尉は機から這い出て来て機密書類を焼却
していると、敵兵が周囲から集まって来て下方准尉を包囲攻撃する。付近部落の村民まで出て来て敵軍に加勢する。下方准尉は拳銃を以ってそれに防戦
するのであったが、敵は大勢であり、味方は1人であり、拳銃の弾が尽きたら万事休すである。田中曹長はそれを上空から見ていたが、加勢に自分が降
りて行って下方准尉を自分の飛行機に乗せて帰って、その急場を救いたいと思うのだけれども、適当な着陸地点がないから、もし着陸せば下方機と同様
に転覆して、もう再び空中へ舞い上がる事が出来ない。そして味方の重要な飛行機が無駄になるのだ。又たとい無事着陸しても下方准尉を救い帰るには
田中機は一人乗りだ。もし自分が救援に赴かなかったならば、下方准尉はあのまま敵の重囲に陥って戦死してしまう。それでは上官を見殺しにした
のであって、自分の日本魂が満足しない。右するも死、左するも死である。「香厳上樹」の架空的な机上の閑葛藤とはわけが違う。真にこれ如実に進退
両難である。


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