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聖典引用 板
129
:
ハマナス
:2012/01/19(木) 16:19:19 ID:u5mC.eb2
『碧巌録解釈』後篇――『碧巌録』終講の辞より
宇宙の真理と云うものは、それを長廣舌を揮って詳密鄭寧に書けば一生涯続けても、
書き終わるを得へく簡単なものではないが、それを百歳の長寿を保って最後の時が来るまで書き続けても書き終わり得るべきものでもない。もう九十三歳の歳を迎えているので
何時、私の霊魂も現世から他界へ移住するよう神から命ぜられるかもわからない。
『碧巌録』の最後の章まで毎月一章づつ書いているのでは、それをとても書き了える
日時まで現世の寿命を保ちえるという保証も自信も私にはないのである。好き機会に終講のチャンスを捉えて諸君とのお別れの挨拶を書いて置くのも老人の智慧であると
思いついてので、読者諸賢に、今まで御愛読下されたそのご愛念に感謝の辞を述べて
置くのが老人の智慧であり、礼儀でもあると思いついたのである。
それで、そのような意味のご挨拶を述べさせて置いて貰った方が、一言の挨拶を
述べないで頓死してしまったような無ざまな死に方をするよりも、行き届いて
生前の御礼を言って置いて、何時他界しても皆さまに挨拶もしないで別れて
行くよりも、此の世に思い残すことがなくなり、もう何も此の世でして置くことは
残っていないと心の肩の荷を卸して、他界へ移転して行く方が思い残すことが
何もない、気楽な気持ちで他界へ移住することが出来ると考えついて、私は今、
この様なあいさつ文を書いているのである。
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