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聖典引用 板

108うのはな:2012/01/10(火) 19:23:05 ID:El6gIMAw
天皇制の理念に就いて 『白鳩』誌昭和二十一年三月号掲載の予定なるも検閲にて全文削除さる

 凡そ形あるものは、内在の『形なき形』−理念的存在の具象化せるものである。
日本が皇統連綿二千六百余年の光栄ある歴史を存続せしめ得たのは、唯偶然の所産ではないのであって、
日本民族に内在する民族理念が終始一貫『中心』をもとめ、その『中心』に帰趨し還帰し復元しそこより
再び出発して其処に復るところの生命の中心本体を礼拝帰一せずにはおれないところの其の本然性の然らしむ
るところであるのである。

 斯く、中心者をもとめ、それに礼拝帰一せんとの本然性を、単なる封建性であると考えることは間違いである。
事物にはすべて中心がある。中心者の前には容易にひれ伏す素直な心情こそ、日本人に与えられる純粋なる幼な児の如き、
『神への帰一の心』−宗教心の発露であって、日本人の忠誠心は此の心の現われの一つであるのである。
そしてその生命の必然的礼拝の対象者として吾々の心の中に内在する理念的実在が『天皇なるもの』であらせられるのである。

 歴代の天皇はその理念の表現として具体的天皇であらせられた。そしてその具体的天皇は常に必ずしも理想的天皇の状態を
あらわし給うとは限らないのであって、その時代の国民の精神状態が反映して理念の完全なる天皇にも色々の影が反映したのである。
かくて古事記にも必ずしも完璧なる天皇の御状態のみが書いてあるのではない。
武烈天皇の如き天皇も歴代のうちには描かれているのである。
具体的現象の天皇が如何にあろうとも本当の天皇は理念の世界に理念的完全の天皇として日本民族の心の中にあるのである。

 永遠に完全でまします天皇 吾々の心の中には斯くの如き理念が存在して、それにすべての細胞的存在なる臣民の理念が奉仕しているのである
斯くの如き、有機的生命的世界観 日本民族に於ける中心への還帰帰一の心、忠誠心があるのが欠点なのではない。
この心を利用して自己の幕府的存在の野心を満足せしめようとした重臣的、又は軍閥的、将軍的存在が理念の完璧なる天皇の真象の顕現を隠覆して、その
聖明を蒙まし奉ったのである。それは月蝕に於ける表面の暗黒的存在が、太陽そのものにあるのではなくして、
地球みずからの影であるが如くである。

かくて、月蝕について太陽それ自体を犯罪者として非難する如きは愚かなることであって。地球みずからが
懺悔し反省しなければならないと同じように、国家の重臣、軍閥、将軍家的存在が、天皇の『久遠神聖の理念』の
顕現を曇らし奉ったことについて真に深き懺悔を必要とするのである。

『大和の国 日本』 谷口雅春 先生著 P89−90


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